瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

だーくプロ 編著『多摩の怪談ぞくぞくガイド』(8)

 4月12日付(7)まで、細目を示して初版と改訂版の異同について確認した。その上で、そもそも本書を繙く切っ掛けになった八王子城の記事について検討を始めて編著者「だーくプロ」の素性について4月17日付「八王子城(14)」に推測を示して、初版の奥付の上に「後記」があったことに触れていなかったことを思い出したのである。改訂版の奥付の上は余白で何も刷られていない。
 横組みで、最初の段落に編纂意図が述べてある。

◆後 記……今、なんだか気がめいって仕方がないという人が多い。ぼんやりした不安とヒザ小僧を抱えてうずくまっているのは退屈だ。退屈するともっとめいってくる。そういうときにはいっそ、心臓がバクバクいうような恐怖体験をおすすめする。めちゃくちゃこわい目にあうと、それまでの自分の不安がちっぽけに見えたり、突然その原因がわかって、心がなぐさめられることがある。この本は、他人に迷惑をかけないで、そんな体験をするための道案内である。


 当時は所謂「失われた10年」の末期で、私はこの10年間を学部生から引き続いて大学院生として、少々浮世離れしていたから「ぼんやりした不安」を感じることもなく過ごしていた。1月23日付「子不語怪力亂神(2)」に書いたように、むしろこの時期に怪談への関心が失せてしまって、当時刊行されていた『学校の怪談』シリーズを苦々しく思い、続いてシリーズ化されて続刊された『新耳袋』にも興味はなく、怪談のブーム(?)からは離れて過ごしていた。「失われた10年」が終わってから、小池壮彦の実証的な怪談研究の一端に触れて*1ぼちぼち怪談界(?)に復帰してみたのだが、私が離れる前から活躍していた水木しげる稲川淳二、私の気持ちが離れていた時期に登場した京極夏彦等の諸氏の書くものには馴染めないままでいる。別に馴染めなくても構わないと思っているのだけれども。
 それはともかく、ギンティ小林新耳袋殴り込み』を読むに『新耳袋』の著者たちは執筆中に怪異現象に遭ったそうで、私はと云うと2014年8月21日付「佐藤純弥「新幹線大爆破」(1)」の前置きにも書いたように、怪異スポットにわざわざ出掛けて行くという趣味がないせいか――歩くのが趣味(?)の割に、どうも惹かれないのである――そんな体験をしたこともないのだけれども、本書の関係者もやはり、とんでもない目に遭ったと主張しているのである。2〜3段落め、

 だが、けっしてなめてかかったり、ひとりで行ったりしてはいけない。この本ができるまでに、関係者が2名、立て続けに骨折したりヒビが入ったりした。祟りじゃないかと、ひそかにおそれている。
 実際、多摩にはいかにも祟りがありそうなおそろしいところが多い。とくに殺人事件の現場は不気味だ。まだまだ生きたかったのに、突然殺された人は、殺した人をうらみ続け、殺した人のところに化けて出るだけでなく、うらみが場所にこもって無関係の人にも影響を及ぼす。


 「実際」に「多摩に」こういうスポットが「多い」訳ではなく、余所と似たようなものだろう。「殺人事件の現場」に因縁談が語られるのも、多摩に限った話ではない。最後の段落、

 人間の目には見えない、今の科学ではまだ解明できない不思議な力の働きというものがあるのだ。命そのものが不思議な力のかたまりである。だから、人を殺すというのは、とてもおそろしいことなのだ。天狗の話ならいいが、殺人事件の怪談はこりごりだ、とヒビの入った指が泣きを入れている。


 どうも、この「後記」の執筆者は、指の骨にヒビの入った人で、この怪我を、殺人事件の現場を取材したことと結び付けて解釈しているようだ。
 改訂版にはこの「後記」がないから、どういう素性の本なのかを窺う手懸りが全くない。(以下続稿)

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 いつも蒲団を敷いて寝ている6畳1間の2階で、今朝、4時40分頃に突然火災警報機が鳴った。2階には他に設置出来る場所がないから天井板に取り付けたのだが、別に煙が出ていた訳でもなければ、何の異常もない。炬燵もテレビもパソコンも全て電源から切ってある。――若干埃が付着していたのと、湿度と気温が高かったのに反応したらしい。用を足して、新聞がもう届いていたので取って、2度寝したのだが、眠い。頭が痛い。額が突っ張る。帰宅後、警報機を外して裏面を見ると「設置日 201124」とあった。買い換えるべきか、それとも調整すればしばらく交換しなくても済むのか、今は調べる気にならない。……同じ部屋だから眠りを破られたが、1階の警報機が鳴ったとして気付けるかどうか、少々不安になって来た。

*1:当ブログではこれまでどちらかと云うと、「七人坊主」や「御所トンネル」、渋谷区円山町のホテルの怪談など、小池氏の危なっかしい面を取り上げることの方が多かったので、『心霊写真』や『呪いの心霊ビデオ』のような、刮目すべき仕事についてもっと触れて置きたいと思っている。