・岩波文庫30-104-1(2)
前回の続き。
偶々手にした第34刷にて、校注者の最晩年に「補説」や「系図」の増補が行われていたことを知って、それ以前のものを見たくなって近所の図書館を覗いてみると、カバーの掛かっていない時期の第22刷があったので早速借りて、第34刷と比較してみた。
まず第34刷の「補説」にて「わかりにくい表現を改め」たとされていた3〜6頁「凡 例」を見るに、「一 本文」の項、11条挙げるうちの8条め(4頁1〜9行め)が組み直されていた。〔 〕は半角。
第22刷では次のようになっていた。「/」は改行位置。
8 底本において訂正・校正の施されている字句については、
A 訂正・校正される前の字句に、それもまたそれで意義が認められる場合は、前の字句を/
そのままにし、併せて訂正・校正の状況をも示した。
B これに反し、前の字句が、単にまた明瞭に過誤であるに過ぎない場合は、訂正・校正さ/
れたものだけを掲げた。
C Aの場合、底本において斜線を用いて抹削したもの(見せ消ち)は、〔 〕を付して本行に/
組入れた。
D 底本では、字句を補うのに、おおむね、補い入れるべき字間に ◦ 符を付し、その右傍に/
細書してあるが、Aの場合には、( )を付して本行に組入れた。
これが、第34刷では次のように改められている。
8 底本において訂正・校正の施されている字句については、
A 本文において斜線を用いて抹消したもの(見せ消ち)は、〔 〕を付して本行に組入れ/
た。
B 底本では字句を補うのに、おおむね、補い入れるべき字間に○符を付し、その右傍/
に細書してあるが、本書では、( )を付して本行に組入れた。
C その他、明瞭に過誤に過ぎない場合の補入もあるが、本書ではそれらを( )で括ら/
ず、そのまま本行に組入れた。(この場合、日本古典文学大系本では*印を付し、原/
状において説明した。)
第22刷のC・D・Bが、A・B・Cの順になっている。
他はそのままとなっているが、凡例最後の「五」項め、6頁10〜12行め、
五 本書の校注に際しては日本古典文学大系21「大鏡」を基としたが、裏書・現状・読法・補/
注・地図・系図等はすべて省略した。また該書の頭注・補注等の誤は最近の諸研究を参照しつ/
とめてこれを訂正した。ここに学恩に対し深く感謝の意を表する。