4月9日付(1)の続き。
なお、ネットで「鶴溜」を検索したところ、内田康夫(1934.11.15生)の『死線上のアリア』がヒットした。
・角川文庫11415(平成十二年三月二十五日初版発行・定価533円・301頁)
- 作者: 内田康夫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/03/01
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (6件) を見る
95頁6〜13行め、
大庭家のある鶴溜*1から南軽井沢のひぐらし荘まで、車で十分かそこいらの距離である。/「鶴溜」という地名は、昔、この辺りの沼地に鶴が渡来してきたことに由来するのだそうだ。/土地の古老に訊いても、鶴の姿を見たことはないらしいから、よほどの大昔なのだろう。
鶴溜は離山*2の裏手の奥、星野*3温泉に近い別荘地で、大庭家はそこに広大な土地を持って/いる。土地といったって、もとは人も住めないし、作物も稔*4らない、といったような原生/林だったのだが、現在は違う。旧軽井沢辺りがむやみに開けて、夏は東京の原宿と変わら/ないような具合になってしまったようなのとは対照的に、ふんだんな自然に恵まれ、野鳥/やリス、キツネなどにも出会える、ほんとうの意味で別荘地というにふさわしい場所だ。
さて、角川文庫版では「鶴溜」に「つるだめ」の振仮名を付しているが、今昔マップ on the webで閲覧出来る昭和12年修正1:50000地形図「輕井澤」でも「つるだまり」である。草軽電鉄廃止後に読み方が変わったのであろうか。
カバー表紙折返しには帽子をかぶった白黒写真に、縦組みで、
●内田康夫(うちだ やすお)
東京都出身。日本中を東奔西走し、日/本人の心を描き続ける。語り口は軽妙/にして鋭敏。現在、軽井沢に在住。
とある。執筆当時から軽井沢在住でなかったとしても、文庫化に際して修正は出来たろうから、やはり現在は読み方が変わっているのであろう。(以下続稿)