瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

壺井栄『二十四の瞳』の文庫本(14)

フォア文庫C018(2)
 昨日取り上げたフォア文庫二十四の瞳』のもとになったのは、次の子供向けの文学全集である。
・日本の文学 2金の星社・286頁・四六判上製本
・初版発行/1973年4月©
・第27刷発行/1987年6月・定価680円
・第36刷発行/1994年11月・定価854円
・第43刷発行/1999年3月・定価900円*1
・第50刷発行/2005年3月・定価900円*2
 第27刷のカバーには、やはり朝間義隆監督の映画の写真が使用されていたが、第36刷には写真はない。
 細かい比較は次回に回すことにして、差当り今日は、昨日注意した解説について見て置くこととする。
 2〜3頁(頁付なし)「目 次」には、2頁に〔作品〕として4点、3頁に、

〔付録〕
作品にふれて (1)(むら じろう)………………………………………………………二五〇
作品にふれて (2)(松尾 不二夫)………………………………………………………二五八
作者にふれて(壺井繁治)………………………………………………………………二七八
栄の年譜……………………………………………………………………………………二八一

とある(漢数字は半角)。
 〔作品〕は2段組だが、この〔付録〕に当たる部分は段組になっていない。
・248〜249頁「不景気から戦争へ――『二十四の瞳』の時代――/昭和の苦しみの歴史のあと」
 「一九二五年(大正14)」から「一九四六年(昭和21)」の「事項作品中のできごと」を示した年表で、4段めには〔〈大石先生と生徒/たちの人生  〉〕と添えてある。これも別に詳しく紹介することとしたい。
 以下、改行位置は「/」ではなく「|」で示した。
・250〜257頁「■作品にふれて (1)|作品『二十四の瞳』の時代/歴史の流れ|むら じろう
 見出しの下に「※( )内の数字は本文ページ」とあって、248〜249頁の年表の文章による解説になっている。フォア文庫には年表ともども採られていない。末尾、257頁15行めに下詰めで「むら じろう 文学教育連盟中高部会」とある。
・258〜269頁「■作品にふれて (2)|短篇の作品と「二十四の瞳」|松尾不二夫
 フォア文庫の「解説(1)」。末尾、269頁13〜15行めに下詰めで、

松尾不二夫(まつおふじお)
一九四四年、岡山県に生まれる。国学院大学文学部卒|業。中学生の読書教育研究会々員。現在・私立学校教諭。

とある。
・270〜280頁「■作者品にふれて|人間的な愛情から受けた感動が物語に|壺井繁治
 フォア文庫の「解説(2)」。末尾、280頁14〜16行めに下詰めで、

壺井繁治(つぼいしげはる)
一八九七年、香川県に生まれる。詩人。早稲田大学中退。学生時代より詩作|を始め、『壺井繁治全詩集』等の著書ある。一九七五年九月四日、死去。

とある。「著書ある」は原文のママで、第36刷に至るまで訂正されていない*3。それからフォア文庫でも「つぼいしげはる」と読んでいるが『日本国語大辞典』『日本大百科全書』『日本人名大辞典』『Encyclopedia of Japan』『ブリタニカ国際大百科事典』などいづれも「つぼいしげじ」である。
・281〜286頁「《壺井 栄の年譜》」
 生年から没年まで。これもフォア文庫には採られていない。
 詳細な比較は別にすることとするが、フォア文庫版はこの「日本の文学 2」から作品1篇と、時代背景を説明した年表・解説を省いたものなのである。(以下続稿)

*1:7月9日追加。

*2:6月19日追加。

*3:6月19日追記】第50刷でも訂正されていない。