瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小沢昭一『芸人の肖像』(1)

ちくま新書996(二〇一三年二月一〇日第一刷発行・定価900円・筑摩書房・217頁)

芸人の肖像 (ちくま新書)

芸人の肖像 (ちくま新書)

 2015年5月28日付「河本正義『覗き眼鏡の口上歌』(1)」にて触れたが、私が小沢昭一(1929.4.6〜2012.12.10)の『日本の放浪芸』に触れたのは大学に入学して間もない頃のことだった。 ちょうどこのシリーズが刊行中で、近所の区立図書館にも入っていて、家にビデオデッキは一応あったので(家人のいない時間を見計らって)視聴した。大学のAVライブラリーにもあったので視聴した。
 その後、CD化された『日本の放浪芸』を懐かしく聴きつつ、小沢氏の放浪芸関係の書籍も見る度に借りては眺めていたのだが、先日、この『芸人の肖像』を見掛けて、借りて来た。
 217頁「本書の刊行にあたって」は、11行めに「二〇一二年二月 ちくま新書編集部」とあって、これ以外に、すなわち著者本人が本書の成立事情を説明した文は存しない。参考までに2〜10行めを抜いて置こう。

 本書は、小沢昭一氏の生前に企画が決定し、編集作業が進んでいたものです。
 弊社では、二〇一一年、小沢氏にPR誌「ちくま」の表紙写真と「某月某日」と題したエッセ/イを十二回連載していただきました。その過程で小沢氏が長らく撮影保管してきた、人物や風景/などの膨大な写真の存在が明らかになりました。その価値に鑑み、弊社より、写真集としてまと/めさせていただくことを提案し、了解いただいたものです。
 小沢氏が体調を崩されてからは、本書の具体的な作業などは、小沢氏に報告をしつつ、主に小/沢昭一事務所とちくま新書編集部との間で進めてまいりましたが、本書の刊行を楽しみにされて/いた小沢昭一氏は、無念にも二〇一二年十二月十日、帰らぬ人となりました。
 謹んで本書を小沢昭一氏の御霊前に捧げます。


 すなわち11行めは「二〇一三年二月」とあるべきで「二〇一二年二月」では生前のことになってしまう。
 本書にはこの他にもチェックの甘いところが散見される。(以下続稿)