瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

加太こうじ『紙芝居昭和史』(6)

 単行本の本体、頁付があるのは283頁までで1頁白紙、そして奥付。
 奥付は横組みでごく一部ゴシック体の他は明朝体、上部に略伝、名前以外は小さい。

加太こうじ*1
1918年東京・浅草に生まれる。
少年時代から紙芝居の作画に従事/し、紙芝居衰退後、1960年より文/筆業に転ず。太平洋美術学校卒。/思想の科学研究会会員。
著書 『落語』『日本のヤクザ』/『小ばなし歳時記』等がある。
現住所・東京都葛飾東金町■の/■の■


 現住所はカバー裏表紙折返しにあったものと同じ、数字は伏せた。
 下部は上部の著者名と同じ大きさの活字で、

    紙芝居昭和史
発行日 昭和46年7月10日 初刷発行
著 者 加太こうじ©
発行者 下野 博
発行所 立風書房
    東京都大田区南千束1の12の4
    東京(727)1101
    振替 東京74493 145
印 刷 信毎書籍印刷株式会社
    株式会社 美術版画社
    定価 640円
落丁・乱丁本はお取替えいたします
    0076-12142-8909

とある。奥付の裏も白紙。
 見返し・遊紙は茶色で横縞の透かし。
 本書の執筆・刊行については「あとがき」の最初の段落(それぞれの頁の2行めから)に見えている。改行位置は単行本「|」旺文社文庫版「/」岩波現代文庫版「\」で示す。

 この紙芝居の歴史を書き終えて私は自分の一生にひとつの区切りがついたように思っ\た。同時代|/に、同じ釜の飯を食って生きた仲間の記録は、紙芝居潰滅後、文筆業に転じた\私が書かなければ、/ほ|かに書く者はないと思いこんで十数年をすごした。今、立風書房と、\その代表者である下野博、/編集|者稲見茂久その他の人の好意と協力によって、ようやく、\そのあらましを書きあげることがで/きたの|である。はじめに、それらの人々のご苦労に、\厚くお礼を申しあげる次第である。


 次に、旺文社文庫版「文庫版へのあとがき」から、稲見氏に言及した段落を抜いて置く。285頁12〜15行め、

 この『紙芝居昭和史』は、私の体験を通して紙芝居の変遷を叙し、併せて昭和史を簡略ながらも/知って頂く本として書いた。はじめは昭和四十六年に稲見茂久氏という立風書房勤務の若い編集者/のすすめによって、立風書房からの出版を目途として書きおろしたものである。東宝映画はそれを/原作として『黄金バットがやって来る』という劇映画を作った。


 石田勝心監督の映画『紙芝居昭和史 黄金バットがやって来る』は昭和47年(1972)5月13日公開。ネットで画像検索するに、ポスターやロビーカード、サントラ盤がヒットする。出来れば見たいと思ったのだが商品化されておらず、動画サイト等には予告篇も上がっておらず、当時の映画雑誌にも当たっていないので内容については実際に見た人のブログ記事によって窺うばかりである*2。すなわち、赤田ペン吉のブログ「赤ペンダラダラ日記」の、藤岡琢也(1930.9.4〜2006.10.20)追悼記事である2006-10-24「紙芝居昭和史 黄金バットがやって来る」及び、しらのブログ「こんなんみっけ!」の小沢昭一(1929.4.6〜2012.12.10)追悼記事である2012/12/10「あぁ…小沢昭一さん…」が参考になる。主演は小林桂樹(1923.11.23〜2010.9.16)。
 立風書房は昭和41年(1966)創業、平成16年(2004)に親会社の学習研究社に吸収合併された。稲見氏は平成11年(1999)に有限会社うなぎ書房を設立している。公益財団法人 たばこ総合研究センター(TASC)の機関誌「TASC MONTHLY」の「ピットイン」欄にしばしば寄稿しているが、230号(1994年12月)「落語と私」、256号(1997年2月)「普通の人」、267号(1998年1月)「もうひとつの舞台」、273号(1998年7月)「一通の手紙」、以上の肩書は「立風書房出版部長」であったのが、279号(1999年1月)「お楽しみはこれからだ」では「うなぎ書房主宰」、295号(2000年6月)「鰻に聞いてくれ」では「うなぎ書房代表」となっている。
 稲見氏には著書はないようだが他にも雑誌への寄稿が幾つかあり、中でも「彷書月刊」1999年9月号の特集「加太こうじという人」に寄せた「手紙」が注意される。或いは本書に関する文章かも知れない。機会があったら(と思っていても、所蔵する図書館に出掛けても他の用事にかまけて忘れてしまうのだが)内容を確認することとしたい。(以下続稿)

*1:ルビ「かた」

*2:映画情報サイトについてメモするのを忘れていた。キネマ旬報社提供の梗概・配役が、MovieWalker映画.comに載るがレビューはない。allcinemaには配役は載るが梗概がない。但し短いがコメントが1つ投稿されている。