瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

宮澤賢治の文庫本(21)

・角川文庫7381『風の又三郎』(5)
 7月17日付(12)の続きで、改訂新版(198頁)となる以前の、奥付の発行日の1行めが「昭和六十三年十二月十日初版発行」となっている168頁の版を3冊並べて見た。
初版】昭和六十三年十二月十日初版発行・定価260円
十版】昭和六十三年十二月十日初版発行・平成三年六月十日十版発行・定価301円
十七版】昭和六十三年十二月十日初版発行・平成六年十月二十日十七版発行・定価340円
 初版のカバーは7月17日付(12)にメモした。
 十版・十七版のカバーは、カバー表紙折返し最下部右寄りにゴシック体横組み「カバー 飯野和好」とあって、7月28日付(15)に紹介した、改訂新版の(私の見た限りでは)改訂十六版までに掛かっていたカバーと同じ絵が使用されており、これは7月24日付「宮澤賢治『注文の多い料理店』(4)」に取り上げた角川文庫924『注文の多い料理店』及び8月4日付(19)に取り上げた角川文庫1631『セロ弾きのゴーシュ』の、「改訂新版」とそれ直前の「改版」の関係に同じ。その後、こよの2013年12月31日5:00のtweetに拠れば、平成25年(2013)の年末より、7月30日付(17)にも触れた、こよのイラストのカバーに切り換えられたようだ。
 カバー表紙は同じ。改訂新版との異同は、改訂新版は地色が黄みがかったクリーム色で、茶色の細線の枠(14.2×9.7cm)の上部に木版のようにかすれた茶色で標題、横組みだけれども上下にズレており、漢字はゴシック体太字だが平仮名は版画風になっている。絵は周囲を切らずに全て載せているおり、絵の上部にゴシック体白抜き横組みで著者名、下部にゴシック体白抜き横組みで小さく「角川文庫」。十版・十七版は太い黄緑線(幅1.5mm)の枠(13.4×9.2cm)があって上部の鶸色地に横組みで、茶色の縦長の丸ゴシック体の標題、その下に紺色のゴシック体で著者名。その下には白枠(10.6×9.0cm)があり、飯野氏の絵が改訂新版よりも拡大されて、周囲を切って収めてある*1。ゴシック体白抜き横組みの「角川文庫」は絵の右下に小さく入っている。
 カバー背表紙、地色は黄みがかったクリーム色で、最上部にゴシック体でやや小さく「み|1-5」とあって秀英初号明朝で大きく標題、中央やや下に著者名、最下部にゴシック体でやや小さく「角川文庫●」●にゴシック体白抜き「P」があってすぐ下に十版「310」十七版「350」。
 カバー裏表紙折返しは横組みで、最下部左に明朝体で小さく「カバー 暁美術印刷」、右下にKBマークがあるのは一致。上部、十版は「角川文庫宮沢賢治作品集」1行分空けて「注文の多い料理店セロ弾きのゴーシュ銀河鉄道の夜宮沢賢治詩集/風 の 又 三 郎」とあって、これは角川文庫924『注文の多い料理店』改版四十五版に一致。なお、初版は「改編 風の又三郎」であったのが「改版」がなくなっている。十七版は「セロ弾きのゴーシュ」が「セロ弾きのゴーシュ・/グスコーブドリの伝記」に変わっている他は十版に同じ。
 カバー表紙折返し、十版の上部の横組みの紹介文は題が「風の又三郎」となって「改編 」がなくなっている他は初版に同じで、広告はない。十七版は角川文庫924『注文の多い料理店』改版四十五版に一致。
 カバー裏表紙、初版にはバーコードがなかったが、十版・十七版は左上のバーコード1つめ「9784041040096」は一致、2つめは十版「1910193003100」十七版「1910193003506」、右上の1行め、ISBNコードは一致、2行めは十版「C0193 P310E 定価310円」定価の下に小さく「(本体301円)」、十七版「C0193 P350E 定価350円」定価の下に小さく「(本体340円)」と添える。十版は以下余白だが十七版は中央に、

 どっどど どどうど……
 青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんも吹きとばせ
山の谷川の岸にある小さな小学/校に、大風の吹いた朝、ひとり/の少年が転校して来た。
次の朝、その少年が登校して来/ると、土手の草が、ざわざわ波/になり校庭に小さなつむじ風が/まいた。
谷川の小学校の子供たちは、そ/の少年があらわれて以来、ふし/ぎに落着かない気持ちにおそわ/れた。
表題作ほか八編を収録。

と、初版・十版のカバー表紙折返し上部に明朝体横組みで入っていた紹介文がゴシック体縦組みで入っている。

 本体、1頁(頁付なし)扉、子持枠の中、最上部に初版は丸ゴシック体で小さく「改編」とあったが、十版・十七版はこれがなくなって「風の又三郎」が上に移動している。
 以下、168頁までは一致(するようだ)。
 奥付、子持枠の中、最上部は初版では明朝体で「改編」とあったが、十版・十七版ではなくなっている。子持枠の下は縦組みで、まづ発行日、初版「昭和六十三年十二月十日 初版発行」十版「昭和六十三年十二月十日 初版発行/平成 三 年 六 月十日 十版発行」十七版「昭和六十三年十二月 十 日 初 版 発 行/平成 六 年 十 月二十日 十七版発行」、以下異同を拾って置くと「発行者――」は初版・十版は兄、十七版は弟。初版「電話〈編集部(〇三)八一七―八四五一/営業部(〇三)八一七―八五二一〉」十版・十七版は市外局番の次に「三」が入る。「印刷所――旭印刷 製本所――大谷製本」前者は同じ、後者は十版「多摩文庫」十七版「千曲堂」。初版「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーの明記してあります。」半行分空けて「Printed in Japan」右を上に横転。十版は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社通信販売課宛にお送り/ください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」十七版「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」若干空けて1字下げで「定価はカバーに明記してあります。」、匡郭の下辺の右側上に「©Printed in Japan」と横組みで入っているのは十版・十七版同じ。匡郭の下辺の下、初版は右にISBNコードとCコードがあるのみであったが、十版・十七版は左に「み 1-5」とある。
 奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」。
 最後に目録が6頁、初版は3段組の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)」の(2)〜(5)頁、1頁10点10冊の「角川文庫 最新刊」の(49)頁と(50)頁。十版と十七版は1頁6点(明朝体で大きく標題、ゴシック体で著者名、1行10字で3行の紹介文)で、十版の1頁めは「ミステリー」、2〜6頁めは「角川文庫最新刊 」、十七版は全て「角川文庫最新刊 」。(以下続稿)

*1:改訂新版の著者名及び「角川文庫」の入っている辺りは切れており、その分、主題となる人物や建物は改訂新版よりも拡大されている。