以下しばらく、気が附いたところを挙げて見る。あっちに飛びこっちに飛びしている話の一部分なので、本当はもっと前後を引きたいのだけれども、際限がないので必要最小限に止めたつもりである。原本を参照されたい。
・単行本41頁14行め〜42頁8行め、
山田 ぼくは、女性軽蔑主義者だなんて前、言われたことあるけど、その反対ですよ。
――まったくそうだと思います。
山田 あのね、女性のために、忍者の群れが全滅していくちゅう、そんな話が多いもの。【41】 『明治断頭台』、こないだ、泣いたちゅうて書いてたな、作家の杉本章子さん。あれをみた/ ことありますけどね、ビデオで。原節子と、前進座の「河内山宗俊」。
高橋 ああ、山中貞雄の撮ったやつ。
山田 そうだと思う。
高橋 戦前ですよね。
山田 そうそう、あれはね、本当に学芸会だって言われたんですよ。悪党六花撰か、あれの/ とこに、原節子の弟がぐれて、はまりこんで、原節子が、それ、かえしてくれって、それ/ で最後は六人が原節子のために全滅していく映画なんです。
この映画は以前、図書館でDVDを借りて見たが、「原節子の弟」と云うのがかなりどうしようもない野郎で同情出来なかったので、所々ハッとさせられるような描写もあったが、なんでこいつのために「全滅」せにゃならんのか、と、どうにも腹立たしくなって仕方がなかったのであった*1。
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――このへん『くノ一忍法帖』の伊賀忍者とくノ一の一対一の死闘とも似てますし、『明治/ 断頭台』のゴロツキ邏卒の趣向にも通じるところがありますね。最後、エスメラルダを船/ までぶじに送りとどけて海の藻屑と消えた。
山田 ああ、作家の杉本章子さんが、あのラストは何度読んでも泣けるといってくれた。
と見えている。杉本氏は晩年にこのラスト「正義の政府はありうるか」を次のアンソロジーに収録している。未見。
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ちなみに、宇江佐真理(1949.10.20〜2015.11.7)も同じ頃に同じ病気で死去している。
* * * * * * * * * *
単語レベルの誤りは文庫版で修正されている可能性が高いから、後回しにする。(以下続稿)
*1:私は酔っ払いと若者、それから寅さんを大目に見る場面が苦手である。
*2:【9月22日追記】一般の老爺の語りについてだけれども、2011年11月23日付「七人坊主(22)」及び2011年11月22日付「七人坊主(21)」に、同様の指摘をしていた。