瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

林家彦六『正蔵世相談義』(1)

・一九八二年十二月十日初版発行・定価1500円・一声社・228頁・四六判上製本
 八代目林家正蔵改め林家彦六(1895.5.16〜1982.1.29)の没後に、標題の連載を中心に纏めたもの。本書の由来は226〜228頁、谷口幸璽「『正蔵世相談義』のこと」に、説明されている。すなわち、226頁3〜8行めに、

 三遊亭円朝から一朝老に受継がれた芸風を伝承した彦六師匠は、芝居噺や怪談噺の大家として有名だった/が、いわゆる随談と呼ばれる話口にも味があった、「正蔵世相談義」は、昭和五十二年一月号から五十五年/十二月号まで、つまり肖像から彦六へと改名するまでの四年間、仏教雑誌『大法輪』に連載された随談であ/り、「寄席の怪談咄」(四十七年八月号)、「私の霊魂実在説」(五十一年七月号)、さらに日本画家・川田清/実*1氏との対談「昔の役者ってえものは」(五十四年九月号)も、やはり『大法輪』誌に掲載されたものであ/る。‥‥

とあり、さらに228頁6〜8行めに、

 この本に収めた『大法輪』掲載のもののほか、新内の岡本文弥師匠との「芸の対談」は一九七〇(昭和四/十五)年四月『赤旗』に十回にわたり連載されたもの、また、関山和夫氏の「林家彦六師匠の遺業」は『文/化評論』一九八二(昭和五十七)年四月号に書かれたものである。

とある。怪談噺を継承していた人らしく、幾つか気になった話があったので借りて見た。
 厚みのある扉に続いて1頁(頁付なし)中扉に標題、2〜7頁には上部に子持線(9.1cm)があって、2〜5頁には11題ずつ、6頁には4題と対談2題、関山和夫と前述谷口氏の文章が挙がり、7頁には中央やや下に明朝体で小さく「表紙の絵 林家正蔵/扉    川田清実/題  字 橘右近 /カ ッ ト 西谷昌久/装  釘 辻村益朗」とある。8頁から本文。1頁16行、1行44字。題は3字下げ6行取り*2四倍角。
「江戸ッ子の食い物」8頁1行め〜
「高すぎる木戸銭」11頁2行め〜
「芸人らしい人」14頁2行め〜
「子供の躾」17頁7行め〜19頁15行め
「お湯屋道徳の提唱」20頁1行め〜
「青信号と赤信号」23頁6行め〜25頁15行め
「近所付合い」26頁1行め〜29頁10行め(余白下部にカット)
「教育の罪」30頁1行め〜32頁12行め
「べらぼうめ!」33頁1行め〜
「礼儀の第一歩」37頁5行め〜
夫婦円満の秘訣」40頁4行め〜43頁15行め
「身の程を知れ」44頁1行め〜47頁12行め
「無駄てえもの」48頁1行め〜50頁11行め
「焼酎の味」51頁1行め〜
「人間の先祖はみんな無縁」54頁4行め〜56頁14行め
「みんな仲良くしろよ」57頁1行め〜59頁13行め
「仏様もお馴染みに」60頁1行め〜
「余計なこと」63頁5行め〜66頁5行め(余白下部にカット)
「寄席の猥談」67頁1行め〜
「誠意のない世の中」70頁7行め〜72頁13行め
秋刀魚の味」73頁1行め〜75頁10行め(余白下部にカット)
「暮れの風」76頁1行め〜79頁3行め(余白下部にカット)
「誰が食べるんだい?」80頁1行め〜
「江戸ッ子の小噺」82頁10行め〜83頁14行め
「庶民的な食い物」84頁1行め〜
「「正蔵」という名前」86頁12行め〜89頁16行め
「喧嘩の作法」90頁1行め〜
「お神輿」94頁5行め〜96頁15行め
「柳一という芸人」97頁1行め〜100頁15行め
「怪談の会」101頁1行め〜103頁16行め
「あきらめ」104頁1行め〜105頁15行め
「地獄の様相」106頁1行め〜108頁5行め(余白下部にカット)
噺家を育てない世の中」109頁1行め〜
「鰻丼の食い逃げ」113頁3行め〜115頁12行め
「何をしてやがんでえ」116頁1行め〜118頁12行め
「御岳さんの怒り」119頁1行め〜122頁2行め(余白下部にカット)
「寄席の言葉」123頁1行め〜
「楽屋の仁義」125頁10行め〜126頁13行め
「金は遣いよう」127頁1行め〜
「はて恐ろしい執念だ」129頁10行め〜
「後の号外先に読めず」133頁3行め〜135頁15行め
「歌舞伎役者の神様」136頁1行め〜137頁15行め
「坊主丸儲け」138頁1行め〜
太鼓持ちの芸」141頁6行め〜143頁15行め
「子供を噺家にはするな」144頁1行め〜146頁7行め(余白下部にカット)
「大概にしやがれ*3」147頁1行め〜
 以上46題が「大法輪」連載の「正蔵世相談義」である。昭和52年(1977)1月号から昭和55年(1980)12月号までであれば、月刊誌で48冊刊行されている勘定になるが、2つ足りない。初出誌を見ていないので休載があったのか、合併号で冊数が少ない年があったのか、等、未確認。
「私の霊魂実在説」150頁8行め〜156頁11行め
「寄席の怪談咄」157頁1行め〜164頁15行め
 この2つは「正蔵世相談義」に先立って「大法輪」に掲載されたもので、ゴシック体2行取り1字下げの見出しで幾つかの節に区切っている。
 165頁は左下にカットがあって他は余白。
 166〜183頁「〈対 談〉/昔の役者ってえものは」林家正蔵/川田清実
 末尾(183頁9行め)に下寄せでやや小さく「(一九七九年九月)」とある。
 184〜215頁「芸の対談」林家正蔵岡本文弥
 末尾(215頁11め)に下寄せでやや小さく「(一九七〇年四月)」とある。
 これらの対談もゴシック体の見出しで幾つかの節に分割されている。後者は連載だが見出しの数と連載の回数は対応していない。
 216〜225頁「林家彦六師匠の偉業」関山和夫
 1頁20行、1行48字。
 次に谷口氏の文があって、奥付。最後に1頁4点の目録が3頁。(以下続稿)

*1:ルビ「きよ/ざね」。

*2:86頁は5行取り、90頁は7行取り。

*3:ルビ「てえげえ」。目次にはルビなし。