昨日の続き。――準備段階では「「ヒカルさん」の絵(09)」と題していましたが、これからしばらく“閉じ込められた女子学生”について述べて直接「ヒカルさん」の絵と関連する訳ではないので、題を改めました。「ヒカルさん」の絵のまま続けようかとも思ったのですが、この種の話について「ヒカルさん」の絵の意義を過大視するべきではないと思うので、主題は同じなのですけれども敢えて改題することにしました。
2014年4月19日付「芥川龍之介「人を殺したかしら?」(1)」に述べたように、私には長らくホラー番組を見る習慣がありませんでした。ですから、実家を出てから、動画サイトで見るようになったのです。しかし、好きで見ていると云うより暇潰しで、大体そういうのを見ても、2015年2月12日付「遠藤周作『ぐうたら生活入門』(1)に述べたように怖いとは思えなくて、大抵笑いながら見ているのです。じゃあ何で見ているのか、と云うと、2014年4月18日付「赤いマント(138)」や1月15日付「赤い半纏(1)」等で述べたように、怪異談の流布に放送の影響を無視出来ないと考えているからですが、……しかし、とても全てを見尽くすことは、出来そうにありません。
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・「アサギの呪い」
さらにこの手の話が一般的になるには、次のドラマの影響も大きいようです。
平成12年(2000)3月28日に放映された「学校の怪談 春の呪いスペシャル」の第2話「アサギの呪い」。
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実家にいてチャンネル権を持たなかった私は、放映時にはこの種のドラマを見ることが出来ませんでした。数年前、今は削除されてしまいましたが某動画サイトに上がっていたのを視聴しました。当時は別に「ヒカルさん」の絵と似ているとか云うことは気にせずに、ただ暇を見てこのシリーズを一通り視聴していたのでした。
――「水澤女子学園」という女子高の生徒、彩(内山理名、1981.11.7生)と真由(彩花、1981.3.9生)の2人が、私的制裁を加えるために自分たちを裏切った杏子(江川有未、1981.11.27生)を、今は鎖で閉ざされている地下の、かつて図書室として使われていた部屋に連れ込みます。そして杏子を、さらに奥にある部屋に「昔、この部屋で人が1人死んでるの」と言って脅して閉じ込めるのです。暗くなるまで閉じ込めて気が済んだので出してやるのですが、今度は3人とも図書室から出られなくなってしまいます。携帯電話も通じません。――以下は杏子と真由の会話なのですが、ちょっと顔の区別が付かないので台詞の受持ちは違っているかも知れません。
真由:「ひょっとして、アサギの呪い?」
杏子:「アサギって何よ?」
真由:「ずぅっと前にね、アサギって子がこの学校にいたの。暗い子で、友達少なくて、いつもあの部屋で1人で本を読んでたんだって。で、明日から夏休みだっていう日に、クラスの何人かの子たちが、ふざけてアサギをあの部屋の閉じ込めたんだって。で、閉じ込めた子たちはみんなアサギを出すの忘れちゃって、アサギは夏休みの間中、あの部屋に閉じ込められていたの」
真由:「で、夏休みが終わって、扉が開けられたんだけど、部屋中血だらけで、壁を掻き毟ったために手の爪は血で固まり、全身干からびたミイラのようなアサギの死体があったの」
しかしこれも、アサギの家族が学校から帰宅しないことを届け出て、そして「いつも」図書室で「本を読んでたん」なら、真っ先にそこから探し始めそうなもんです。それはともかく、その後、旧日本軍の地下要塞みたいな地下通路をゾンビみたいな怪物に追い回されると云う展開になるのだけれども、――作中、語られるこの話は、松大七不思議や後述する日大の暗室の話を、その原因に苛めを配することでより陰惨にしてありますが、同類と云って良いでしょう。
「アサギの呪い」の脚本家は、どこからこの発想を得たのでしょうか? 「奇跡体験!アンビリバボー」にヒントを得た可能性は充分考えられます。そして、これが「ヒカルさん」の絵とは関係なしの“閉じ込められた女子学生”の話の源泉の1つとなった可能性を見ても、良いと考えます。(以下続稿)