瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

田辺貞之助『うろか船』(8)

 昨日の続きで、9章め「学生の性倫理」について。
 228頁、1行めに2字下げで大きく明朝体で「学生の性倫理」とあり、3行分空けて、2行取り6字下げでゴシック体で「一、序説」とある。2節めからも2行取り。末尾、246頁5〜6行めに一回り小さく括弧で「(昭和二十五年、『学生の性科学』、さらに昭和三十/一年『知性』所載)*1」と出典を示す。
二、現代学生の貞操」230頁11行め〜。
三、学生貞操」232頁10行め〜。
四、トルストイ『男と女』」237頁15行め〜。
五、女子学生の場合」240頁15行め〜。
六、結語」243頁13行め〜。

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 続いて10章め「男と女の九章」について。
 247頁、1行めに2字下げで大きく明朝体で「男 と 女 の 九 章」とあり、3行分空けて、2行取り6字下げでゴシック体で「」とある。2節めからも2行取り。末尾、246頁12〜15行めに1行空けて小さく1字下げで、

あとがき――さる書房で『交際』という本を計画し、数名の執筆者をあつめて、いろいろの職種と階層の/男女の交際について書かせようとした。ぼくにはフランス小話に中心をおいた男女のありようをという註/文なので、こういうものを書いたが、その本の出版がおくれそうなので、取りあえずこの随筆集にのせる/ことにした。

とある。結局この『交際』という本は出なかったようだ。
」250頁8行め〜。
」256頁3行め〜。
」258頁4行め〜。
」260頁10行め〜。
」264頁10行め〜。
」266頁10行め〜。
」268頁15行め〜。
」272頁7行め〜。
 「あとがき」にある通り、小話を駆使しての随筆なのだが、映画について触れたところがある。前回「映画について」について、やや詳しく確認したので、これもついでに確認して置こう。「」節の前半、264頁11行め〜265頁5行め、

 近ごろ映画になって来たサガンの『或る微笑』などを見ると、若い男女の学生が全然貞操の観/念なしで、自由につきあっている。教室でいっしょに講義をきき、それから軽い食事をして、男/の下宿へいって同じベッドで休息し、さらに午後の授業に出て行く。放課後はバーやダンス・ホ/ールで夜をふかし、二人とも相当酔って帰る。こういう生活が格別つよい愛情もなく、一種の習/性のように行われている。【264】
 サガンと並び称されるボーヴォワールの『レ・マンダラン』にしても、主人公は学生ではな/く、もっと年上の専門研究家だが、夫も妻もそれぞれ職業を持ち、互いの生活に干渉せずに自由/にやっている。それはもう夫婦というよりも生活共同体を形成するにすぎない。
 これらの小説がいずれも女流作家の筆になるもので、それが日本でも相当の反響を呼んでいる/ことは、注目すべき事実である。‥‥


 アメリカのJean Negulesco(1900.2.26〜1993.7.18)監督の映画“A Certain Smile”の日本公開は昭和33年(1958)10月17日だから、本書刊行の半年ほど前である。

 当時の訳書の書影とパンフレットを示して置く。

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 273頁の裏、奥付の前は白紙。
 奥付の上部に右上から左下へ草書で「多奈辺」の朱文楕円印(1.3×1.0cm)が捺された検印紙(4.4×6.2cm)がある。これは「奥付検印紙日録」を見るに、鳥獣戯画から採った2011-01-10「青蛙房」ではなく、緑色の扇型に蛙を白く抜いた2011-01-09「青蛙房」と同じものである。
 下部に太い波破線の枠(6.0×9.0cm)に縦組みで、

 昭和三十四年四月十日 発行
  うろか船 定価三二〇円
   著 者   田 辺 貞 之 助
   発行者   岡 本 経 一
   印 刷   三協美術印刷株式会社
   製 本   有限会社 関川製本所
   製 函   有限会社 日の出紙器

  東京都千代田区神田錦町三ノ一四
発 行 所 〈有限/会社〉 青 蛙 房*2
          電話東京(29)三五一四
          振 替 東 京 七二三八四

とある。版元名が最も大きく、次いで標題と著者名と発行者名、定価と版元名の上の7文字がこれに次ぐ。電話と振替番号はごく小さい。
 奥付の裏は目録で、やや太い枠(13.0×9.0cm)の中に縦組みで7点7冊、三好一光編『〈江戸/東京〉風俗語事典』¥850、岸井良衛編『五街道細見』¥1,200、今村信雄『落語事典』¥600、瀧川政次郎『池塘春草』¥450、田辺貞之助ふらんす小咄大観』¥450、岡本綺堂岸井良衛編『江戸に就ての話』¥430、三田村鳶魚/稲垣史生編『武家事典』¥850,それぞれ定価の上に17字×2行の紹介文。(以下続稿)

*1:「二」は何故か半角、読点の前の二重鍵括弧閉じは半角。

*2:ルビ「せいあぼう」。