・講談社KK文庫『学校の怪談』(4)
1月24日付(006)の続きで、奥付の前の情報源について示した頁を確認して置く。
『学校の怪談2』の「参考文献」には、次の10点が挙がる。
『現代民話考第一期』Ⅳ・Ⅴ 松谷みよ子 立風書房
『信州七不思議』 降幡利治 郷土出版社
『すみだむかしばなし』 墨田区区長室編・発行
『川越の伝説』 川越市教育委員会編・発行
『遠野物語』 柳田国男 大和書房
『藤岡屋日記』第一巻 鈴木棠三・小池章太郎編 三一書房
『子供の民俗学』 飯島吉晴 新曜社
「ヤングの知っているこわい話」 米屋陽一・岩倉千春・高橋伸樹・針谷美智子・常光徹(「不思議な世界/
を考える会会報」17号〜23号
「若者たちのこわい話」 大島広志(「民話と文学の会会報」47号〜54号)
「金しばり」 常光徹(「世間話研究」2号)
仮に太字で示したのが1冊めの『学校の怪談』と重複する。『日本の現代伝説』シリーズの典拠となった「不思議な世界を考える会会報」及び大島廣志「若者たちのこ・わ・い・話」が重なっているところは興味深い。飯島吉晴『子供の民俗学』にも学校の怪談の調査報告が載るが、他は学校とは関係のなさそうな文献ばかりである。
そして「ありがとうございました」として、47名が(五十音順)で並ぶが、うち39名が女性らしい*1。そして最後に「その他話を参考にさせていただいた方々」とあるが、どういう方々なのであろうか。
『学校の怪談3』の「参考文献」には、次の10点が挙がる。1冊めの『学校の怪談』及び『学校の怪談2』には頁付がなかったが右下(小口側)に「166」と頁付がある。
『現代民話考』 松谷みよ子 立風書房
『太陽コレクション5』 平凡社
『日本妖怪変化史』 江間務 中央公論社
『不思議な世界を考える会会報』17号〜25号
岩倉千春・岡野久美子・常光徹・針谷美智子・水野道子・米屋陽一・渡辺節子
「若者たちのこわい話」 大島広志(『民話と文学の会会報』47号〜54号)
「怖い話」 洲藤明樹・納所とい子(『日本民話の会通信』97号)
「伝承文学教育の課題」 石井正巳(『筑波大学附属駒場中・高等学校研究報告』第28集)
「学校の不思議伝承資料集」 大越麻弥
「恐怖体験に関する資料」 上田渡
「うわさ」 鹿児島経済大学社会学部山下ゼミ
前冊までと重複するものを太字で仮に示した。なお「洲藤明樹」はちくま文庫『現代民話考[7] 学校・笑いと怪談・学童疎開』の19〜325頁「第一章 笑いと怪談」の29〜269頁「怪談」の73〜78頁6行め「四 体育館やプールの怪」の1項め、73頁2行め〜74頁(17行め)「ボールがはねる」の5話中4話め、74頁5行めの書き出しは「*神奈川県大和市。K小学校に‥‥」で、最後、14行めに「話者・洲藤朋樹。回答者・納所とい子(東京都在住)。」と見える「洲藤朋樹」と同一人物と思われるが、どちらが正しいか分からない。なお、単行本『現代民話考[第二期]II 学校〈笑いと怪談/子供たちの銃後・学童疎開・学徒動員〉』の23〜224頁「第一章 怪談」の60頁12行め〜64頁1行め「四、体育館やプールの怪」の60頁13行め〜62頁1行め「一 ボールがはねる」は4話でこの話は載っていない。すなわち文庫版刊行に際して追加された話である。
そして「ありがとうございました」は42名、うち32名が女性らしい。そして男性2名女性2名の計4名が『学校の怪談2』と重複する。最後は「その他はがきを送ってくださった方々」と添えてあり、これは以下『学校の怪談9』まで同じである。(以下続稿)
*1:男女の別は示されていないが、名前から判断した。当時はまだ区別しやすかったと思う。