瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『夢で田中にふりむくな』(3)

 2016年12月19日付(1)白水社版『日本の現代伝説』全4冊の、2016年12月20日付(2)ポプラ社版『怪異百物語』全10冊の書影を示しただけに終わって、本書については殆ど何の説明もしていなかった。
 カバー用紙の表面は、光沢があって雲のような模様を、細かい指紋のような筋状の凹凸によって表したもので、見返し遊紙を挟んで、扉にも使用されている。
 1頁(頁付なし)「目次」の扉、2〜6頁に2段組。
 7頁(頁付なし)中扉、上部中央に縦組み明朝体で標題。裏は白紙。
 9頁(頁付なし)は「第1章」の扉。裏は白紙。11頁から本文。
 以下、12章に分類され、本文には各話の題があるのみ。章末に3〜4頁の解説風のコラムがある。
 各話については次回、233〜235頁「話のもとになった資料」と対照させて細目を紹介するつもり*1なので、今回はこのコラムについて触れて置く。
 コラムの頁は上部に横線が2本あり、この二重線の上、1頁めの右寄りに明朝体斜体横組みで題が入る。また文中、1行分空けて、□で囲われた◆にゴシック体の見出しがあって、2つの部分に買われている。文字は細いゴシック体で小さく、1頁に偶数頁20行、奇数頁19行、1行37字。奇数頁には左端に「欄外の縁起もの」と題する1〜2行のコラムがあるので本文の行数が少なくなっている。そして最後の行の下詰めに(渡辺)或いは(岩倉)と担当者名が入る。
 第1章 夢の中で(9〜26頁)
       夢が暗示するもの(23〜26頁)
        ◆「仮死魔霊子」の呪文(24頁7行め〜26頁2行め)(岩倉)
 第2章 写ってしまった(27〜41頁)
       見えないものが写る不思議(39〜41頁)
        ◆「帰ってこい」と電話が(40頁10行め〜41頁14行め)(岩倉)
 第3章 鏡の中の世界(43〜55頁)
       鏡で未来を占う(53〜55頁)
        ◆凶悪事件にも似た話(54頁1行め〜55頁11行め)(岩倉)
 第4章 死んだあとでも(57〜82頁)
       日本の霊力と欧米の人体異常(79〜82頁)
        ◆本人が死を自覚してない(80頁13行め〜82頁3行め)(渡辺)
 第5章 そこにいるのはだれ(83〜102頁)
       江戸時代からあるアヤしい話(100〜102頁)
        ◆膨大な量の話を記録(102頁1〜20行め)(渡辺)
 第6章 霊界からのメッセージ(103〜127頁)
       車にも乗る幽霊(125〜127頁)
        ◆イギリスの幽霊ツアー(126頁16行め〜127頁10行め)(岩倉)
 第7章 なんか、おかしい(129〜142頁)
       気持悪い「人気者」の話群(139〜142頁)
        ◆日本だと「天然記念物」(141頁1行め〜142頁7行め)(渡辺)
 第8章 奇妙なことが…(143〜166頁)
       現代的になってきた「奇妙な話」(164〜166頁)
        ◆飛行機や空港で(165頁11行め〜166頁18行め)(岩倉)
 第9章 追いかけてくる!(167〜181頁)
       外見は人間だが、その実体は?(179〜181頁)
        ◆霊界と人間界のあいだで(180頁12行め〜181頁19行め)(渡辺)
 第10章 異次元空間へ(183〜198頁)
       天狗・山の神・狐(196〜198頁)
        ◆おじさんは天狗か?(197頁15行め〜198頁15行め)(岩倉)
 第11章 ここはあぶない(199〜213頁)
       権力者たちが残したもの(210〜213頁)
        ◆ロシアの子どもが怖がる話(211頁8行め〜213頁9行め)(渡辺)
 第12章 あるところにおばあさんが…(215〜232頁)
       全国津々浦々に出没するバアさん(229〜232頁)
        ◆ジイさんもがんばる(230頁14行め〜232頁9行め)(渡辺)
 岩倉千春「あとがき」(236〜238頁)。末尾、238頁19行め、3字下げで「一九九六年 六月」、下詰めで「岩倉千春」。
 冒頭部に話の素性と編集の方針が示されているので引用して置こう。236頁2〜15行め、

 だれでもひとつくらい、怖い話や不思議な話を聞いたことがあるのではないでしょうか。本書は、/若者たちの間で語られている怪談や、ちょっとおかしなうわさなどを、『不思議な世界を考える会/会報』に掲載している「ヤングの知っているこわい話」と、「私たちの百物語」などから選んで紹/介したものもの*2です。「ヤングの知っているこわい話」はアンケートで知っている話を書いてもら/ったもので、回答者は大学生が中心ですが、中学生や高校生の回答も含まれています。「私たちの/百物語」は、渡辺節子が運営する「不思議な世界を考える会」のメンバーやゲストが語った話を、/テープ録音から起こして記録したものです。
 ほかに、三原幸久氏、樋口淳氏による未掲載のアンケートから選んだ話もあります。また、久保/孝夫氏の「高校生が語る現代民話」からも使わせていただきました。資料を提供してくださったみ/なさんに、そしてアンケートに協力してくれたみなさんに、心よりお礼申し上げます。
 本書の話は資料をそのまま再録したものではなく、読みやすさを考えて文章に多少手を加えてあ/ります。しかし、もとの資料になかった「おち」を編著者が勝手に付け加えたりはしていません。/とくに明示しませんが、本文については渡辺と岩倉がほぼ半分ずつ分担し、最後に渡辺が全体を整/えました。


 これに続く236頁16行め〜237頁6行めの2段落は、カバー表紙折返しに同趣旨の文が載るので、そちらを引用しよう。縦組みで、右上に古印体で大きく「「現代の怪談」」、右脇に黒の楷書体太字で「日常生活のすき間に存在する」と添える。1行分開けて、紫の秀英明朝体で、

この本で語られているのは、「都市伝説」というジャンルに分類されるショート・ストーリーです。「都市伝説」は、「友だちの友だちが体験したこと」とか、警察が調べたこと、新聞に載っていたことというように、事実らしく語られるのが特徴のひとつです。ですが、実際に、こうしたことがあったという可能性がまったくないわけではありません。本当のことと考えるか、たんなるうわさ話と考えるかは、読者であるあなたの自由です。

とある。私は、体験談は(本人が見たと主張する以上)仕方がないと思うが、そうでない話はあまり「自由」にしたくないと思うのである。(以下続稿)

*1:2020年7月4日追記2020年2月1日付(4)から2020年2月4日付(7)まで。

*2:2つめの「もの」は衍字。