瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤川次郎『早春物語』(1)

 原作は読んでいない。映画とはかなり違うらしいが「原作:赤川次郎」とあるので、記事の題は原作者名で上げて置く。

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 澤井信一郎監督の映画のことは、2015年11月13日付「筒井康隆『時をかける少女』(2)」及び2015年11月14日付「筒井康隆『時をかける少女』(3)」に触れた。撮影現場で見聞きしたことについて、もう少し詳しく書いて置きたいのだが、当時のメモがあるはずなので曖昧な記憶に頼って書くのは控えて置く。――私は鎌倉市民ではないが、中学の頃、2016年2月23日付「松葉杖・セーラー服・お面・鬘(15)」に述べたように横浜市の南部に居住していて、三浦半島の付け根附近をうろうろしていたので、2016年6月16日付「吉田秋生『海街diary』(1)」にも書いたが、昭和60年(1985)4月14日(日)に偶然、この映画の撮影に行き合わせたのである。
 この、鎌倉市西御門の来迎寺でのロケ撮影については、特典の「特典資料集」に収録されている「「早春物語」と歩んだ半年間 知世の全足跡/MAKING OF 早春物語」(「バラエティ」(昭和60年10月号)より再録)に、

4月4日 木 雨
 鎌倉ロケ4日目。
 来迎寺で瞳と梶川の出会いのシーンを撮る予定だったが、雨のため中止。やむなく帰京ということになった。
S#10・11、桜のシーンを撮るはずだったが、天候のために、急きょ変更。昨日の続きで、S#9・17・18ということになったが、……8時、「洗心亭」で出発待機。9時の決断で中止。やむなく帰京。

とあって、当初、このシーンは平日の昼間に撮る予定であった。しかし雨でクランク・インが予定より2日遅れる(3月28日)等、雨がちの天候や主演の原田氏の登校(始業式・身体検査)などのために遅れたのである。

4月12日 金 雨
S#10・11を撮影の予定だったが6時の連絡で本日中止。知世は学校へ……学校では「雨が降るとTOMOが来るよ」と皆が、待っていてくれるそうだ。授業修了後ダンスのレッスンに行き、帰り、隆三サンと「ウエスト」でお茶を飲み、話をした。17時30分、明日も中止の連絡が入った。
 
4月14日 日 快晴
S#10・11 来迎寺
 再び鎌倉ロケ。6時にロケバスは撮影所を出発。鎌倉の来迎寺で、桜をバックに瞳と梶川が出会うシーンを撮った。
お待ちかねのS#10・11、そしてS#15のリテイク(極楽寺駅)。7時5分、成城「ミスタードーナツ」前より出発。8時、鎌倉到着。3つのシーンを撮り終えて17時45分に終了。
知世は、撮影前に発声練習をやっている。その成果が上がって、クランク・インの頃よりずっと、声が大きくなったようだ。


 再延期・再々延期を経て4月14日、日曜日の撮影となったのである。来迎寺は観光客が来るような寺ではないが「鎌倉まつり」期間中(昭和60年は第27回)の日曜日ということもあって、それなりに見物人がいたのだ*1が、映画は人の気配を全く排除している。――4月4日に撮る予定だったとすれば、4日と14日と、どちらかは偽物の満開だったことになろう。しかし14日の撮影を見た私は、満開の桜を見てセットだとか小道具だとか思わなかった。このMAKINGを読んで初めて気になりだしたのである。ちなみにクランク・アップは5月13日(月)。……もう早春じゃないな。クランク・インの時点で既に早春じゃないが。いや、主人公(17歳)が早春なのか。
・パンフレット

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 このパンフレットの多くの部分は、やはり特典の「劇場パンフレット(一部抜粋)」によって読むことが出来る。その中の、製作担当 小島吉弘「澤井組「早春物語」撮影日誌」に、

-12-13
 四月四日から四月十二日までに雨天中止が六日間、この中止の数もめずらしい記録である、四月十三日、前日に中止するも、この日は東京では陽が出ていた。私の胃はまたまたキリキリと痛くなる。
 
14
 四月十四日鎌倉来迎寺ロケ、やっと待ちに待った桜が撮れる。好天に恵まれ、満開の桜は見事であった。ギリチョンで間に合ったのである。スタッフもキャストも顔がイキイキしている。明るい仕事場、重い芝居、これが澤井組のモットーである。

とあって、やはり本物の満開だったようだ。――パンフレットでは、4日・12日・13日の撮影が延期になったことは分からない。

 なお「角川映画 THE BEST」盤は特典が「劇場予告編」のみで、「劇場パンフレット(一部抜粋)」も「特典資料集」も収録されていない*2。(以下続稿)

*1:しかしこれも、近所の人が中心だったように思う。

*2:私の見た2004年盤(DABR-0131)には「劇場予告編」は収録されていない。