瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Wilhelm Meyer-Förster “Alt-Heidelberg”(2)

 3月12日付(1)の続き。なお、この戯曲の概要については、岩手大学工学部の宮本裕教授のHPの「ドイツの窓・ドイツを知ろう  ドイツに関するページ」に紹介されている、「基礎ドイツ語」5月号・第26巻第1号(昭和50年5月・三修社)掲載の 渕田一雄「マイアー・フェルスターとハイデルベルク」を挙げて置こう。
旺文社文庫『アルト・ハイデルベルク昭和44年7月1日発行・特製版190円・194頁
・マイアー=フェルスター著/植田敏郎訳
 私が見たのは特製版(上製本)で、装幀は2012年4月23日付「中島敦の文庫本(17)」に取り上げた、中島敦『李陵・弟子・山月記』特製版(昭和43年6月1日発行)に同じである。
 192〜194頁の「一九六六年 六月」付の「訳 者」による「あ と が き」の冒頭、192頁2〜9行めに、

 この翻訳に用いた「アルト・ハイデルベルク」は、一九一三年八月ベルリンで発行のもので、表/紙の下の方に十三万三千――十四万二千とあるから、この時九千部増刷したわけである。十二年間/に十四万冊以上売れる劇というものはそうざらにあるものではないであろう。
 この本は「ヴォッヘ」という週刊雑誌の別冊の第二巻として出版されたもので、マイアー=フェ/ルスターの写真、ベルリン劇場で初演のときのポスター、舞台写真、ケティー、カール・ハインリ/ヒ、ドクター・ユットナー、ルッツなどの役を演じた俳優の写真などがたくさん紹介されている。/それにカットもいかにも第一次世界大戦の前のドイツの趣味や嗜好をあらわすもので、これらをな/がめながら訳すのは楽しかった。

とあって、この本から採ったらしい写真をいくつか挿入している。キャプションは写真の下に明朝体横組みで小さく添えてある。
・15頁「ハリー・ウァルデン 公子「カール・ハインリヒ」の最初の俳優」
・27頁「レオニー・タリアンスキー/「ケティー」の最初の女優」
・53頁「「ケティー,ばんざい,ホーホ」」
・63頁「ローザ・レティー ウィーンのドイツ民衆劇場の/最初の「ケティー」の役の女優」
・77頁

〔上〕ハンブルクでの初演から。左からカール・ハインリヒ(オイゲン/・ブルク),ケティー(マリア・エルズインガー),フォン・アルターベ/ルク伯爵(ハインリヒ・シュロート),クルト・エンゲルブレヒト(ハ/インリヒ・マテス)
〔下〕ハノーヴァーでの初演から。カール・ハインリヒ(ユーリウス・/シュトローブル)とケティー(ルツィエ・マティアス)


・95頁「「ドクターはベッドにはいるんです。ドクターは寝なきゃいけない」」
・105頁「コンラート・ダルマン ベルリンの劇場で500回以上も/近侍「ルッツ」として登場した」
・113頁「フランクフルト劇場で。 カール・ハインリヒ(オット・/フリッケ)とケティー(ポルティー・ザンゴラ)」
・127頁「フランツ・テーヴェレ 近侍「ルッツ」役,/ウィーンの民衆劇場での初演」
・139頁「C・フート ライプツィヒの市立劇場の/「ケラーマン」役」
・159頁「「輝かしかった大学時代!………」」
・165頁「アニー・ベックマン シュトットガルト初演/の「ケティー」役」
 解説にも写真が挿入されているが、これは別に紹介することにする。――とにかく岩波文庫には全く収録されていないこれら舞台写真や役者たちの写真によって、実際の舞台の様子が窺われるのが興味深い。そして、ドイツ語圏全体で上演されていたことも実感されるのである。(以下続稿)