私は性格的に長篇推理小説を読んでいられないので、普段松本氏の長篇小説を借りたりしないのだが、――先月、家人が久し振りに松本清張の推理小説が読みたいと云って『波の塔』を借りて来て読み始めた。家人は長篇小説を読むのを苦にしない人で、夢中になると物凄い勢いで読む。もちろん細部まで読み込むような読み方ではない。私にはこれが出来ないので長篇小説を読もうと云う気になれない。
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珍しく途中で投げ出しそうであったが、何とか最後まで読んで、2週間くらいかかって期待していた松本氏「らしさ」が全く得られなかったと、文句を言っている。――そんな折に、私は図書館で野村芳太郎監督『ゼロの焦点』のDVDを見かけたのである。これなら外れはないだろう。犬童一心監督『ゼロの焦点』もあったのだけれども、2015年6月8日付「大島弓子『グーグーだって猫である』(3)」に触れた映画版『グーグーだって猫である』が原作そっちのけの酷い出来だったので、そっちはやめて野村監督の方を、2時間ドラマの原点と云う興味から借りて来て、家人とともに見たのである。
・野村芳太郎監督『ゼロの焦点』 昭和36年(1961)3月19日公開
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しかし、まだ読み終わらないうちにDVDを返却することになってしまったので、詳しい比較を直ちに上げることは出来ない。
今は、映画の中に出て来た小道具について、紹介して置こう。
禎子が立川警察署時代の夫の同僚に示す夕刊「北國新聞」は、1面トップが「鶴来宗太郎殺し‥‥/犯人〈田沼/久子〉は被害‥‥/昨夕〈白山下の/ガケ下で〉死‥‥」の見出しで、左に写真が3つ、キャプションはいづれも下にゴシック体横組みで、右「犯人の田沼久子」左上「鵜原宗太郎さん」左下「鵜原憲一さん」とある。鵜原宗太郎(西村晃)は憲一の兄、すなわち主人公の義兄。上欄外に「昭和35年(1960年)12月18日 (日曜日) 第24525号」とある。記事本文は小説を流用したらしく、そこまで作ってはいない。この警官は「しかし、おかしいですなぁ。つい二週間ばかり前にも、これと同じ新聞を持って、あなたと同じことを尋ねて来た人がありまして」と言っている
丸越工業株式会社
取締役社長 室 田 儀 作
本 社 金沢市白銀町五番地
電話(2)二二四九番
工 場 七尾市南町一七番地
電話七尾局一三五一番
と読める。文字の大きいところを強調(太字)で代用した。(以下続稿)
【4月5日追記】2016年7月16日付「小林信彦『回想の江戸川乱歩』(11)」に、小林氏の連載時の回想を引用するとともに、カッパ・ノベルス版の書影を示して置いた。
*1:その後、風呂に入っているうちこれはおかしいことに気付いたので削除する。この日付については、後日再見して記事にしようと思う。