・『昭和こども キネマ』(1)
- アーティスト: 清瀬安二,伊福部昭,大木正夫
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2006/12/22
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- 発売日: 2013/03/13
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2016年4月9日付「草輕電氣鐵道(1)」にもこの手のニュース映画を集めたDVDを取り上げた。――こういう映像は出来るだけ多く見たいと思っているのだが、うっかり細かくメモしてしまうのでなかなか進まない。INDEXが完備されている訳ではなく、頭出しで内容を選んで見ることも出来ない。かと云って面白そうなところだけ選んで見たのでは偏りや、大事なことの見落としが起こりそうだ。
・第一巻 記録映画篇(DV-9006・¥14,800)
「こどもグラフ」製作・日本映画社/配給・教育映画配給社*1(00:00:07〜01:03:42)
第1号から第8号が収録される。(昭和24年〜昭和25年)とあるばかりで、個々の公開日などは示されない。
「だい1ごう」(00:15〜07:06)
話題は3本。番号は打たれていないが、仮に①②③として置く。時期であるが③が9月下旬のことなので、昭和24年(1949)10月の公開であろう。
まづ、右下にポストに葉書を投函しようとする男女児童のカットのある「みなさんの/学校や/町や/村の出來ごとを/どんどん/お知らせ下さい/みなさんのこどもグラフは/おたよりを/お待ちしています」という画面(00:26〜41)が表示される。
①「がっこうだより/先生一人/生徒三人/ほっかいどう」(00:42〜02:09)
女声ナレーション「北海道の、八雲と云う町から、20キロ*2も、山の中に入ったところに、おうちが7軒しかない村があります。そこの小学校は、先生が1人、生徒がたった3人、今日は朝から体操です。」
途中に写る木の柱に打たれた、墨書した木の表札に「八雲町立大関小学校夏路分校」とある。
このナレーションに続いて、校庭で4人が体操するところがしばらく写る。先生の脇に黒っぽい犬。
「小さい男の子は1年生で、大きい男の子と女の子は2人とも3年生。たった3人でも、佐藤先生と一緒に、大変仲良く勉強しています。」
途中に「一年時間表」と「三年時間表」が並べて掲示してあるのが写る。
このナレーションに続いて、オルガンを弾く先生の回りに集まって合唱する場面がしばらく写る。
「あんまり生徒が少ないので、学校を止めようかという噂が山の下の方から伝わって来たとき、PTAのお父さんやお母さんたちは吃驚して、とんでもないことだと反対しました。」
北海道渡島支庁山越郡八雲町夏路は遊楽部川の支流、トワルベツ川のさらに支流、サックルベツ川沿いに開けた谷にあった集落である。
「八雲町」HPの「デジタル八雲町史」の「八雲町史年表」からこの分校に関する記事を拾って置く。
明治38年(1905)条「・9月、大関尋常小学校付属サックルペシペ特別教役場授置(大正4年校名を夏路と改称、昭和22年大関小学校夏路分校となる)。」
昭和39年(1964)条「・大関小学校夏路分校新校舎落成。」
昭和51年(1976)条「・大関小学校夏路分校、野田生中学校桜野分校閉校。」
本校であった大関小学校については、明治33年(1900)条に「・八雲尋常高等小学校大関分校設置、翌年小学校に昇格。」とある。
夏路(サックルペシペ)については、明治30年(1897)条に「・利別へ通ずる八雲・利別間の仮定県道、サックルペシペまで開通。」、明治34年(1901)条に「この年、サックルペシペに夏路駅逓設置、岩間儀八を任命、昭和2年シュルクトシナイに移り、昭和18年廃止。」と見えている。年表だけでなく本文の方を見ればもっといろいろな記述が拾えることと思うが、この廃村に関しては、成瀬健太のブログ「日本の過疎地/北海道の廃村・限界集落の探訪記録」の「八雲町夏路」に詳しいので、私はそこまでしないで置く*3。成瀬氏はこの廃村を大学の卒業論文の主題としたようで、非常に詳しく記述されているのだが、
(注2)「八雲町史」によると「昭和22年ではわずかに5戸となり、23年には在籍児童数が2名となって、日本一小さい学校ということでニュース映画によって全国的に紹介されたほか、テレビでもしばしば紹介された。」とある。‥‥
とある、ニュース映画についてそれ以上の追究がない。そこで、たまたまであるけれども気付いたので詳しく紹介して見た次第である。
②「アゲハチョウ/おおさか」(02:09〜04:11)
女声ナレーションの冒頭を引いて置こう。
「大阪堺市第一中学校2年生の鷹司綸子*4さんは、お父さんやお母さんの応援で、ずっと前から、揚羽蝶の研究をしています。お父さんは前に、水族館の館長さんでした。‥‥」と、上品そうな親子3人が写る。既に『蝶をそだてて/―ジャコウアゲハの観察日記―』という著書(上製本)のあることが紹介されるが、この本は国会図書館サーチにて検索するに昭和24年(1949)9月15日・毎日新聞社刊である。
なお、鷹司綸子とは如何にも華族令嬢のような名前であるが、浄土宗大本山善光寺大本願の第121世法主(1997〜)の鷹司誓玉(1929生)の妹ではないかと思われる。すなわち、Wikipediaの「鷹司誓玉」項に、「鷹司信敬(公爵鷹司煕通の四男)と母敦子(水野家出身)の娘として東京で生まれる*5。俗名は「榮子(しげこ)」。‥‥。父が大阪府堺市立水族館館長に就任したので堺に移住したが、‥‥」とある。昭和24年度に中学2年生とすると、昭和10年度生と云うことになる。その後、昭和30年代から平成に掛けて和洋女子大学(家政学部服飾造形学科)に所属して服装文化史の論文や単行本を著した人物と同一人物かと思われるのだが、大学の教員だったとして既に私学でも定年に達している年齢で、和洋女子大学のHPを見てもヒットしない。
③「インディラさん/カルカッタ/とうきょう」(04:11〜07:00)
女声ナレーションの冒頭を引いて置こう。
「これは、象のインディラさんが、8月30日、インドのカルカッタを出発するところです。こんなふうにして、インディラさんはインドの子供たちとさよならをして、日本から迎えに行った延長丸に乗って出発しました。インド洋から東シナ海を通って、どんどんどんどん東京へ向かい、24日めの9月23日東京に着きました。‥‥」
以下は割愛するが、上陸後「‥‥。それからせっせと歩いて、上野の動物園に向かいました。動物園へ着くと、インディラさんは先に来ていたはな子さんと、こんにちはをしました。‥‥」とあって、まだ子象のはな子と一緒に写る。私は院生時代に「ぐるっとパス」を何年か愛用して、上野動物園にも多摩動物公園にも1人で(!)入ったのだが、井の頭自然文化園ではな子(1947〜2016.5.26)も見ている。まだそこまで騒がれていない時期だった*6。(以下続稿)