瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

高校図書館

 先日、過去の記事を漁っていて、当ブログを始めた頃に書いた、高校図書館の回想を見付けた。
 2011年3月8日19時頃に作成した草稿で、もう少し補足してから上げるつもりだったのだろう。しかし当時は出身地を明かしていなかったから、書いては見たものの寝かせて置くつもりだったのかも知れない。震災には関係なく。
 以下はその全文で、記事の題と註も、もとのままである。

 私の高校図書館の思い出といえば、第一は微積の追試を受けさせられたことだが、それ以外にももちろん様々な思い出がある。開館当初からの女性司書がいて、親切な人で古い資料を見るのにいろいろ便宜をはかってもらった。父と同い年でもうとっくに定年になっているはずだし、その後、県立高校は教職員を長く同じ学校に勤務させない、という方針になったとかで、私の卒業後、古い人は皆異動になったらしく、私はもともと一時的な住民で卒業後、周辺に縁者もいなくなったので、結局一度も訪ねる機会のないまま過ごしている。そして20年以上経過し、街もずいぶん(再開発と天災で)変わってしまったらしく、今更訪ねても当時の思い出を破壊するだけだと思っている。それから、天災のときに何もしなかった後ろめたさのようなものが、ある。
 郷土資料についての思い出が多いが、書くとどこか分かってしまうので書かない。
 文庫本では旺文社文庫の淡い緑色の上製本などが思い出される。現代教養文庫もあったが、原典主義の岩波文庫イズムに眩まされていた私は、今野氏の『日本怪談集』*1や民話関係など*2を除いて、あまり手にとらなかったように思う。古典の入門書みたいなのはなんだかバカにされているような気がして、思えば昔から妙にプライドだけは高かったのだ。しかし原文を一応読めても意味が分かるところまでは到達出来ていないので、結局面倒臭くて遠ざけていたのだから、今からすると素直に入門書から入っていれば良かったのだ。それはともかく、それから中学の頃にゲームブックが流行って、それで現代教養文庫を買った。当時の図書館はそんな本は買わなかった(ろう)し、その後社会思想社が潰れるとは思わなかった。


 最後の方はぐだぐだになっている。だから放置しているうちに、忘れてしまったのだろう。
 そこのところも敢えて書き直さない。今の私は当時の私と同じように思考出来ないから、直しようがないのである。
 それはともかく、若干の補足をして置こう。
 追試のことは5月2日付「スキー修学旅行(1)」等に書いた。追試受験者が他にもいたことは確かなのだが、学年や性別など、全く思い出せない。ここでは「思い出」の「第一」に挙げているが、思い出すのは当日、追試受験者は朝から図書館で自習させられていて、後から女性司書が出勤して来たのだが「あっ、××君」と、私が追試受験者であることを知って吃驚していたことくらいである。2015年8月10日付「吉田秋生『櫻の園』(2)」に書いたように、直前に同級生たちに勉強を見てもらったおかげで、今更(!)満点だった。と思う(結果は公表されないので)。
 この図書館と女性司書のことは、この草稿のことをすっかり忘れ果てて後に書いた2016年7月18日付「小林信彦『回想の江戸川乱歩』(12)」にやや詳しい。私が司書室で閲覧させてもらった郷土資料は、主として「のじぎく文庫」であった。特に『兵庫の街道』を愛読していた。

兵庫の街道 (1974年)

兵庫の街道 (1974年)

 この書影は函で、記憶にない。本体にはカラーのカバーが掛かっていて、画像検索で1点だけヒットしたが、見たような気がする。――炎天下、私が脚力に任せて歩き回ったのは、この『兵庫の街道』の面影を求めてであったような気がするのだ。
 他の郷土資料については、思い出せない。「のじぎく文庫」をまとめて閲覧出来るような図書館に出掛けて、昭和のうちに刊行されたものを見れば、いろいろ思い出せそうだが、今の私にとっては、兵庫県はあまりにも遠いのである。
 旺文社文庫も思い出せない。2013年3月16日付「國木田獨歩『武藏野』の文庫本(1)」に触れた新潮文庫の「高校図書館用」上製本も、やはりもう思い出せない。講談社学芸文庫の薄くて冊数の多い現代語訳『源氏物語』は覚えているが、読まなかった。いろいろなことが、もう思い出せなくなっている。――まさか当時の蔵書がそのまま残っているとは思えないが、それでももう1度訪れる機会があれば、思い出すこともあろうか。
5月23日追記】現代教養文庫版『日本怪談集』については、この草稿を書く1ヶ月前の2011年2月8日付「今野圓輔編著『日本怪談集―幽霊篇―』(1)」に述べたように『妖怪篇』は学生時代に買ったが『幽霊篇』の方を久しく所持していなかった。

*1:今は所蔵。当時は図書館で閲覧。所持する度胸(?)はなかったが、借りて一時的に保有するのは平気だった。

*2:高校から大学に掛けて新刊で出ていたものを購入。