瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

織田作之助『夫婦善哉』の文庫本(5)

新潮文庫10589『夫婦善哉 決定版』(3)
 7月23日付(4)の続きで、本体について新潮文庫6557『夫婦善哉』四十八刷改版(以下「四十八刷改版」と略す)とこの『決定版』を比較しつつメモして置く。
 1頁(頁付なし)の異同は、標題が四十八刷改版「夫 婦 善 哉」であったのが「夫婦善哉 決定版」となっていることと、最下部のオールドスタイル斜体の番号。
 3頁(頁付なし)の「目   次」は、四十八刷改版は6作品を並べて「………」で下部の半角漢数字と繋ぎ、8行めの下寄り「解 説  青 山 光 二  」と、8行がほぼ均等に並ぶ。『決定版』は7作品になっており、全体に行間が広くなっている。1つめ「夫 婦 善 哉」の次に「続 夫婦善哉」が挿入されているが、次の「木  の  都」との間が特に広くなって、2作品と5作品に分けられている。さらに最後の9行め、下寄りにて「解 説  青山光二石原千秋  」とある。
 5頁(頁付なし)中扉は四十八刷改版「夫 婦 善 哉*1」、決定版「夫婦善哉 決定版*2」となっている。
 7〜61頁「夫 婦 善 哉」は一致。すなわち、増補部分を除いてこの『決定版』は四十八刷改版をそのまま引き継いでいる。
 63頁(頁付なし)「続 夫婦善哉」の扉、本文は64〜96頁11行め、96頁左に小さくもう1行「注」がある。この「續夫婦善哉」の本文については、追って2014年7月19日付「織田作之助「續夫婦善哉」(5)」及び2014年7月20日付「織田作之助「續夫婦善哉」(6)」と同様の検討を加えるつもりである。
 以下は7月3日付(2)に示した細目から、「続夫婦善哉」の34頁分をズラしただけである。すなわち、97〜113頁「木の都」、115〜152頁「六白金星」、153〜201頁「アド・バルーン」、203〜266頁「世相」、267〜288頁「競馬」。
 289〜298頁の青山光二「解説」も同じだが、最後に2行分空けて1行(6行め)、2字下げで小さく、

本稿は旧版『夫婦善哉』(新潮文庫)の解説を再録したものである。(編集部)

が追加されている。
 そして299〜304頁、石原千秋「解   説――物語を閉じること」が『決定版』の2つめの追加である。末尾、304頁8行めに下寄せでやや小さく「(平成二十八年七月、早稲田大学教授)」とある。これは「續夫婦善哉」の評価について、なかなか微妙な書き方をしてある文章で、改めて検討することにする。(以下続稿)

*1:ルビ「め  お  と   ぜん   ざい」。

*2:ルビ「め お と ぜんざい」。