瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

水島新司『ドカベン』(10)

鈴木則文監督『ドカベン』(9)
 昨日の続きで、オープニングの最後まで。
【23】青地「じっちゃん吉田義夫校  医南 利明」白球を打ち返す山田「教  師佐藤蛾次郎岩鬼の父小松方正
 ここから再び主要な役が並ぶ。
 吉田義夫(1911.1.3〜1986.12.22)は山田兄妹の祖父の畳職人「じっちゃん」役、撮影当時66歳。
 南利明(1924.3.14〜1995.1.13)演ずる「校医」は、滅茶苦茶である。撮影開始当時52歳。
 佐藤蛾次郎(1944.8.9生)演ずる「教師」も、やはり滅茶苦茶である。撮影当時32歳。
 小松方正(1926.11.4〜2003.7.11)演ずる「岩鬼の父」自体はさほど変ではなかったと思うが、岩鬼家の場面がひどくドタバタなのである。撮影当時50歳。
【24】黄色地「夏  子マッハ文朱徳川 監督水島新司殿馬と徳川監督
 マッハ文朱(1959.3.3生)は撮影開始当時17歳、演じている「夏子」は、原作では太っていて背は高くはなく、一方的に自分を好いている、単純な岩鬼を巧くあしらっている印象で、実は長島のことが好き(文庫版②114〜116頁)なのだが、普段は感情をあらわにすることなく穏やかにしているのだけれども、本作の夏子はんは他のソフトボール部員に比して飛び抜けて長身で、太ってはおらず、目の回りを黒く縁取り、頬を赤く塗ってそこに黒胡麻のような点を打った田舎娘メイクで、不細工キャラクターと云う設定にしており、長島への思いも写真にキスするなどあからさまにすることで、三枚目キャラクターを強調している。従って岩鬼に対してはかなり邪険で、勘違いから岩鬼を投げ飛ばしたりしている。
 「徳川監督」を演ずる原作者・水島新司(1939.4.10生)は撮影当時37歳。ノリノリである。本作を原作rapeと評する向きもあるが、ノリノリの水島先生を見ているだけで、こうした評価が誤りであることが分かる。……いや、原作rapeと批判したくなる気持ちも、分かるのだけれども。
【25】黄色地 歩きながらバットを構える殿馬殿馬 一人川谷拓三
 そして「殿馬一人」を演ずる川谷拓三(1941.7.21〜1995.12.22)は撮影当時35歳。「トリビアの泉」のネタにされたそうで、確かに殿馬を30代半ばの川谷拓三が演じた、と云う事実だけ切り取って示せばネタでしかないが、しかしこの映画を頭から見て行った分には、他にもオッサンにしか見えない高校生をかなりの数、見せられた末に登場するので、正直なところ、さほどの違和感を今更覚えないのである。――それを狙っていたのだとしたら、恐るべし、鈴木則文監督。
【26】緑色地 山田の頭に抱き付くサチ子
【27】黒地 上を白く抜いて変な顔の岩鬼、下に横書きで「監督鈴木則文」赤字
 この変な顔の岩鬼の枠からまた実写になって、原作でも冒頭にあった(と思う)岩鬼とその他大勢の乱闘シーンになる。(以下続稿)