瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

水島新司『ドカベン』(47)

 ここでまた映画から離れて原作について、気付いた点を検討することにする。
・選抜決勝土佐丸高校戦での回想(1)岩鬼山田
 10月18日付(28)に述べたように、水島氏は従来の設定を確認せず、うろ覚えのまま殆どその場の思い付きのままに展開させてしまう癖があるものと私は見ているのであるが、先月、図書館で映画とは関係のない巻々を見て行くうち、次の巻に描かれる2年春の選抜決勝、土佐丸高校戦に差し挟まれている、明訓ナインのうちの主要メンバーに関する回想にも、やはり顕著にこの傾向が指摘されるらしいことが気になって、それで雨だったこともあって前後の巻は借りずに、差当りこの巻だけ借りて見たのである。
(21)平成7年10月10日 初版発行(327頁)

ドカベン (21) (秋田文庫)

ドカベン (21) (秋田文庫)

・平成21年3月25日 11版発行・定価581円
 まづ、岩鬼の母や兄たち、元女中のおつる、そして本人に拠る、岩鬼の小学生時代の回想(28〜35、38〜41、57頁)に始まるのだが、34頁1コマめ、おつるの回想に、

おつる:「秀彦さまと晴彦さまの通われている秀西*1小学校に入りたかったのだす……/けど奥さまのご方針で隣町の明星小学校へいかされる…… それで正美さまがせめて秀西小を見たいというものですからおつれしたんだす」

との発言があるのだけれども、10月6日付(17)に触れたように、岩鬼は地元の、サチ子の入学した、恐らく公立の青田小学校に入学して卒業まで6年間、後半3年間は番長として過ごしていたはずである。
 次いで山田のじっちゃんに拠る、山田の両親が死亡したバス事故についての回想(81〜83頁)が挟まる。事故は「6年前」で「当時 10歳の太郎」とあり、山田は半袖を着ているので夏であろう。(以下続稿)

*1:読みは33頁3コマめのルビ「しゆうさい」。31頁1コマめ、校門の表札に「私立秀西小学校」とある。