瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

飲酒と喫煙(2)

 昨日の続き。
 最近、歩き煙草が増えて困っている。
 全面禁煙の影響だろう。
 どういう経緯で喫煙者になるに至ったか知らないが、20年前には煙草のCMも盛んに流れていたはずで未だ相当数喫煙者がいるはずだし、なかなか止められないようなものであるなら、全面禁煙で排除するのではなくある程度は喫煙場所を確保してやるべきだろう。
 私は高校時代、職員室になど滅多に行かなかったので記憶がないが、当時は教員が自分の席で喫煙出来たと思う。ところが、私が高校非常勤講師になった頃には職員室や講師室では喫煙出来なくなっていた。最も長く勤めた女子高では初め、プレハブの1室を喫煙ルームにして、喫煙する教員はそこに駆け込んでいた。それから校舎内の行き止まりの廊下にテントのようなものを設置して、その中で吸わせるようにしていた。しかしそのうち全面禁煙になって、しかしあんなに生徒指導に力を入れているにもかかわらず、それでも踏ん切りが付けられないのである。全面禁煙を決めた方はそれを狙ったのかも知れないが。
 それでどうしたかと云うと、校門を出て2分ほど歩いたところにある陸橋の上で吸い始めたのである。バス通りだけれどもあまり人通りがなく、民家も道を渡った向う側で、こちら側にはないので、あまり人目を気にせずに喫煙出来たらしい。しかしながら、流石に問題になった(誰が問題にしたのか知らないが。校内の禁煙主義者がみっともないと思ったのか、それとも近所の住人が陸橋を喫煙場所にされたことを不快に思ったのか)。
 そこで全面禁煙を導入した側が反省して、そんなに止めるのが難しいならやはり校内で喫煙出来るようにしましょう、と云うことにはならないので、どうなったかと云うと、陸橋で喫煙するな、と云うお達しが出たのである。それで喫煙教員たちはどうしたのかと云うと、道を渡って、坂を下りて、川を渡って、さらに少し行った先にあるコンビニエンスストアの前で吸い始めたのである。10分の休み時間では往復出来ない距離である。
 私のような者からすると、それでも止められないのか、と云う気持ちが半分、それでも止められないなら校内に囲い込んでしまった方が却って恥ずかしくないだろうに、と云う気持ちが半分である。
 そして、この頃から、道で歩きながら喫煙する者が増えたような気がする。大学卒業後は、大学院は確か禁煙だったので、喫煙者に接する機会はアルバイトで通った研究室の助教授が(毎度申し訳なさそうに断ってから)喫煙していたことと、博士論文提出の頃まで参加していた研究会の飲み会くらいで、女子高の講師室には喫煙者がいなかったので、その後は身近に喫煙者が全くおらず、脂臭さに不快を感じる機会もなくなった*1。ところが、最近になって歩き煙草が増えたのである。
 喫煙は害悪であると云う理解が広まり、自宅でも吸いづらいのであろう。勤務先は全面禁煙である。以前は駅の線路の砂利に吸い殻が混ざって見えたものだったが、今は綺麗なものである。そうなると、歩きながらで咎められにくい歩行中に吸うのである。朝、通勤で最寄駅に向かう途中、こういう人の後を歩くことになってしまうと甚だ不快であるが、避けて歩く訳に行かない。
 或いは、外階段で吸う人がいる。コンビニエンスストアの前で吸う人がいる。女子高の後に短期間勤めた共学校では、校門の前のコンビニエンスストアの脇のベンチに灰皿があって、何故か皆立って吸っていた。何故座らなかったのか、近付かなかった私には分らず終いだった。女子高でもコンビニエンスストアまで吸いに行くのを面倒に思った教員で、教室から見えない教科室のベランダで隠れて吸っている人がいたそうだ。こうなると便所や校舎裏でウンコ座りをして喫煙していた不良みたいだ。――正直、みっともないし、哀れでもある。
 それにしても、ここまで喫煙を止めさせることは難しく、却って外に煙を撒き散らさせる結果になるのならば、やはり企業・団体が自分の施設内で吸わせるべきだと思うのだ。しかしそうなっておらず、煙草を持った手を振りながら歩くようなのが目に付くようになって来た現状では、自民党の議員たちが頑張って飲食店の喫煙の規制を最小限に止めてくれたのを歓迎せざるを得ないのである*2。――私は喫煙可能な飲食店にまづ入らないし、分煙スペースで吸ってくれるなら、陸橋にみっともなくたむろしながら、或いは歩きながら吸われるよりもずっとマシである。例の三原じゅん子(1964.9.13生)への大西英男(1946.8.28生)のヤジも、こんな全面禁煙が増えた状況下、敢えて喫煙可能な職場で「働かなければいいんだよ」としか解釈出来なかったから、何故あんなに大問題であるかのように報じられるのか、殆どHysterieとしか思えなかった*3。尤もこれは、女子高時代に生徒たちの説明不足の小論文の意図を忖度して毎週何十枚と添削していた*4ために、自然私にはこんな風に正しく聞き取れてしまうのかも知れないが。(以下続稿)

*1:当時、最も往生したのは、スポーツ観戦に出掛けた際に、もともと喫煙者らしく脂臭い上に、飲み物として珈琲牛乳を持ち込んで、この両者が混ざり合った口臭をさせていた30代か40歳くらいの女性の隣の席になってしまったことである。――本当に、口が臭いからせめて緩めず閉じて下さい、と云うくらいは正当な要求としてさせて欲しいものである。

*2:社会全体で喫煙を禁止させることが可能であるならば、もちろん賛成するのだけれども、駅近くの檻のようなところに籠もって吸っている人の群れを見る限り、そこまで規制出来ないだろうし、あれも煙が漏れて嫌なのである。

*3:まぁ色々問題のある議員らしいので、積み重ねの上でこういう論調を招いたのであろうが。

*4:添>削で、意図を明確化させるための書き換え案の提示が殆どであった。