瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

桂米朝『米朝ばなし 上方落語地図』(4)

 1月5日付(3)の続き。
 単行本と文庫版の異同を頭から詳細に比較する余裕は今、ないので、1月2日付「上方落語「三年酒」の原話(2)」の考察を進める用意として、「三年酒」を取り上げた34項め「安治川」について、単行本(132〜134頁)と文庫版(180頁4行め〜184頁4行め)の異同を細かく見て置こう。
 単行本は2段組(1段23行)で項の切れ目は段ごと、従って余白がかなりある。文庫版は段組なしで余白を作らずすぐに次の項が始まる。
 単行本132頁上段、項の冒頭、16行分使って、まづ1行めに当たる位置に子持線(8.3cm)3〜4行めに当たる位置に3字半ほど下げて楷書体の地名「安 治 川」に明朝体のルビ「あ   じ   かわ」、2行半空けて、7〜15行めの下寄せ、フリーハンドの角丸の枠に略地図(4.6×4.2cm)がある。地図の大きさ・縮尺は場所によって異なる。そして15〜16行めの間、略地図の左辺の上に細い縦線(3.6cm)、これも地図の大きさによって項ごとに異なる。ついで3行取り4字下げでやや大きく「"生みの親"は河村瑞賢」と明朝体で見出しがあり、左に本文4行。明朝体で1行28字。
 文庫版は明朝体太字で大きな「安治川――あじかわ――」の下にゴシック体の読みをやや小さく添える。2行分の項目名の上に太い横線(3.4cm)があって左右に3行分、合計8行分取っている。その最下部に角丸の枠の略地図(4.1×3.8cm)があり、網掛けで示した道路が、単行本では大きな点の網だったのが文庫版では細かい点になり、また方位も北を装飾で強調した十字で示していたのを文庫版では○に鋭い二等辺三角形(下辺は曲線だが)で示すことに変更している。見出しは2行取り(1行めの下に略地図の左端が掛かる)で大きくゴシック体で「●――“生みの親は河村瑞賢」●は○で囲う。「はしがき」等と同じく1行42字。
 以下、単行本7字下げ「†」文庫版10字下げ「*」で示された切れ目の位置を見て置こう。
 但し冒頭、前置きの切れ目は位置が異なっており、単行本は132頁下段1行めまでの1段落(文庫版180頁9行めまで)で2行めに切れ目の「†」を打ち、文庫版は181頁3行めまでの2段落(単行本の2段落めは132頁下段7行めまで)で、4行めに切れ目の「*」を打つ。1段落めは地理関係の説明、2段落めは寺請制度の説明で、確かにその説明から入らないと、何故神式の葬礼が困難なのかが理解出来ないのだが、この話の登場人物はと云えばそのことを常識として動いているのであって、ここまでを本題に入る前の前置きと捉えるのが妥当かも知れない。
 次に主人公の“神道又”こと播磨屋又七が死んで(実は死んでいないのだが)葬式をどうするかが問題になる話の発端が、単行本132頁下段22行め=文庫版181頁15行めまで、次が話の山場である坊主を最終的に脅迫して神式の葬礼を実現したところに、実は又七は死んでいないことが判明して、仏式の火葬ではなく神式で土葬にしていたことから無事掘り出された又七の発言からサゲになるまでで、単行本134頁上段7行め=文庫版183頁9行め、この途中に写真が挿入されていて、単行本133頁下段全面(縦9.8cm)、文庫版182頁上段全面(縦6.5cm)、ともに頁付なし。単行本の方がやや範囲が広い。文庫版(第2刷)の写真は全体に暗いようだ。キャプションは単行本は写真の上に明朝体でやや小さく「堂島川土佐堀川が合流して大阪湾に注ぐ安治川(合流点の瑞建蔵端付近で)」とあり、文庫版は写真の下にゴシック体でやや小さく「堂島川,土佐堀川が合流して大阪湾に注ぐ安治川(合流点の瑞建蔵端付近)」とある。
 そして最後に、話の注釈や感想が単行本134頁上段16行め=文庫版183頁15行めまで。
 さらに1月5日付(3)に引いた「あとがき」に見たように、担当の永井龍彦記者が執筆した、郷土資料を参考にした、場所の説明を主とした「メモ」が添えてある。単行本は2行弱空けて、7字下げで明朝体でやや小さく1行21字、1〜2行めの上の余白、1字下げの位置に長方形の枠(1.5×0.5cm)に「[メ  モ]」とある。134頁上段17〜22行め・下段1〜8行め、文庫版は3字下げでやや小さく、1行45字、初めの2行の上にやや太い線の円(直径0.6cm)にゴシック体で「メモ」とあって183頁16〜18行め・184頁1〜4行めまで。(以下続稿)