瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

上方落語「三年酒」の原話(08)

 1月20日付(07)までしばらく、都家歌六『落語レコード八十年史』(上)152〜154頁「二代目三木助三年酒余話」について確認した。都家師は結論して、154頁11〜13行め、

 要するに、これは我々の手でこの事実を発見、偶然の符合から幸いにも完全な形で復刻すること/が出来、このレコードの吹き込みから五十有余年、そして録音盤が作られて以来三十年以上経って/ようやくレコードとしての本来の使命を果たし得たのである。まことに慶賀の至りといえよう。

とするのだが、1月17日付(05)に見たように、(下)噺家列伝・文句集・ディスコグラフィー」の400〜407頁「二代目・桂三木助」の項で文字起こしされているのは「みかん売り」なのである。
 桂米朝1月17日付(03)に引いた『米朝落語全集 増補改訂版』速記の冒頭「三年酒というのは、まあ珍しいというだけのおはなしで。」と述べているように、題名を聞いて内容が直ちに連想されるような、一般的な話ではない。「二代目三木助三年酒余話」にも152頁5〜12行め、

「三年酒」というのは上方の噺で、ある神道に凝った男が、その酒を飲むと三年間は目が覚めない/という、中国の三年酒という酒を飲んで仮死状態になってしまう。家族の者はそれを知らずに死ん/だと思い込み、葬式を出すことになるが、故人の遺志で神道でやろうということになり、当時檀家/人別……つまり戸籍をあずかっているお寺の、頑固者の和尚を説得するため、オネオネ(ノラリク/ラリと摑みどころのないじれったい男)、高慢(屁理屈ばかり並べ立てる男)、それにこっき(頭か/ら喧嘩腰の男)の三人が出掛けて行く。結果神道で葬式を出すことが出来たために命が助かる(寺/は火葬、神道は土葬)といった筋立てであるが、この三人と坊主の掛け合いのおかしみが、この噺/の骨子となっている。

と梗概を紹介している。ちなみに「こっき」には傍点「ヽ」が打たれているが、再現出来ないので仮に太字にして示した。
 だから折角なら二代目桂三木助のSP盤文字起こしは「三年酒」にして欲しいところだったのである。その後も、復刻CD等発売されないままのようだ。――すなわち、和尚と談判する3人の渾名が、1月1日付(01)に引いた『増補落語事典』改訂新版では「オネオネ/ゴウマン/ゴツキ」、前記『米朝落語全集 増補改訂版』では「おねおね/高慢/こつき」そしてこの『落語レコード八十年史』では「オネオネ/高慢/こっき」となっている。ここは是非とも、二代目桂三木助の発音を実際の音で確認したいのである。(以下続行)