瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

日本ペン習字研究会『NPK現代ボールペン習字講座』(2)

 昨日の続き。
 以前、兄の残した物の中から発掘したときには、箱があったように思うのだが残って(残して)いなかった。4穴バインダー2冊に綴じたB5判テキストは、画像検索してもヒットしないので、ネットを活用して希望者に(送料着払いで)引き取ってもらうべきだったかとも思うのだが、それも面倒なので廃棄してしまった。今から実家に行けば取り戻せなくもないが。あれだけ「日ペンの美子ちゃん」の宣伝をしていたところからして、それなりの部数が出ていて、品が品だけに表に出てこないだけで、版元や元受講者の許に未だ残っているだろうと思うし。――まぁこういうメンタルなので物が棄てられないのである。
 バインダーは布装で35年以上前の物なので全体に黄ばんで茶色の斑点も出ていたが、テキストは未使用らしく非常に綺麗であった。
 兄は子供の頃から力の籠もらない字を書く人で、筆圧もなく止めも払いも鋭角も曲線も不明瞭で、一言で言うと下手なのである。教員をやっているので日々板書していると思うのだが、年賀状の字を見ても以前と変わりないので、学校では一体どうしているのか、と不思議に思っている。ちなみに私は小学5年生まで5年間、習字を習っていたのだが、習字を習う前から我流で鉛筆を持って、授業で習う前の漢字を書いて遊んでいたせいで、鉛筆の持ち方が変で、筆順もおかしいのである。箸の持ち方もおかしい。普通は小指から掌の側面が汚れるものだが、私は掌の手首寄りの部分が真っ黒になる。小学生時代には筆圧が強くてノートの次の頁が凸凹になるくらいだったのだが、世間の荒波に揉まれて角が取れるとともに筆圧が抜け、段々側面が汚れるようになってきた。それでも高校講師を始めた頃には、黒板消しで消した後に痕が残るくらいの筆圧があったのだが、女子高講師時代には生徒からよく見えないと苦情が来るくらい気の抜けた字を書くようになってしまった。かつ、習字とペン字は同じにならないらしく、手本に倣う習字は手本に似せて、それなりに書けていたはずなのであるが、普段の筆跡は他に同じような字を書く人がいないような独特な字を小学生の頃から書いている。――高校1年生のとき、昭和末年のこととて手書き原稿を印刷した学校の怪談の資料集を作ったのを、女子高の授業で話の種に回覧させたところ、生徒たちに「字が変わっていない」と笑われたものだった。
 それはともかく、習字教室と同じ理屈だとすると、練習を重ねれば上達するはずなのだが、兄は練習しなかったらしい。B4判の紙8枚を折ってホチキスで2箇所中綴じにした32頁(頁付なし)のB5判の冊子「ボールペン習字無料添削用紙」――これは1ヶ月2枚で6ヶ月12枚の添削用紙、さらに自由添削用紙が2枚あって、切り取って日本ペン習字研究会に送付すると「トップクラスの講師が親切な入朱添削を行ない、合わせて客観的な講評を記入して」返送してもらえるのだが、1枚も切り取られていない。表紙は本文共紙で、表紙裏と、裏表紙の表裏は白紙。
 バインダーも1冊めは綴じてあったが、2冊めは綴じられないままで、B5判のテキストは白い、少し光沢のある薄い紙の帯で束ねたままになっていた。1冊めも同様であった(すなわち兄も流石に1冊めは帯を外してバインダーに綴じた)のか、それとも1冊めは発送前に見本として綴じてあったのか、は分からない。
 帯は長さ約41cm、幅11cm、文字は全て横組みで、表側(18.1cm)には上部にやや縦長の丸ゴシック体で大きく「現代ボールペン習字講座へようこそ!」とあり、その下に巨大な灰色の太い「」の字があり、それに被せてやや横長の細い丸ゴシック体で、

 本日、教材一式を取りそろえお届けいたし/ます。希望と自信をもってさっそくボールペ/ン習字をおはじめください。
 「千里の道も一歩から」――今日があなたの/第一歩です。
 (この帯をはずし、バインダーにはさんで/ご利用ください)。

とあって「」の字の下辺の下にゴシック体で「日本ペン習字研究会」とある。
 厚みは1.0cmで、裏側は左が13.5cm、右が8.2cm、右側が上になって3.3cm重なり、2cm強に切った幅1.4cmのセロファンテープで左右を止めている。
 裏の左側に余白を上4.4cm左2.0cm下1.4cm取って、すなわち下寄りに奥付に当たる記載がある。横線(6.5cm)が2本ありその間(4.2cm)に、明朝体

著 者 三上秋果ほか
発行者 北之園秋男
発行所 株式会社学文社
    102 東京都千代田区富士見2-10-16
発売元 日本ペン習字研究会
    102 東京都千代田区富士見2-10-16
    振替東京2-651
    電話 (03)230-1103
    印刷所 株式会社技秀堂

とあって、住所の数字の末尾が2本線の右端に近い。1本めの横線の上にゴシック体左寄せで「NPK現代ボールペン習字講座2」とあって算用数字は他の字よりも大きく上に0.1cmほどはみ出している。2本めの横線の下には明朝体で小さく左寄せで「乱丁・落丁はお取り替えします」とあり右寄せで「©」とある。
 こうやって詳しくメモを取るために持ち帰った付属品を見ていると、今から実家に電話してバインダーを棄てないように、それからバインダーから外して古紙の中に混ぜて置いたテキストも取り戻したくなって来る。――しかし帯のメモだけでこんなに時間を掛けているようでは、なかなか物が片付かない訳である。(以下続稿)
2020年12月28日追記】現在、日本ペン習字研究会で学習中の方から、教材一色の譲渡を希望するコメントが付いていました。しかしながら、残念ながらメモを取った上で廃棄してしまったのでご希望に添えません。お役に立てるのであれば、かつ、現在の教材との比較で何か発見があるとすれば興味深いことですので、やはり保管して置けば良かったと後悔しております。