瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

事故車の怪(13)

別冊宝島92「うわさの本」(2)
 昨日の続きで、石丸元章大月隆寛の対談について。
 早速「うわさ投稿傑作選」について述べても良かったのだが、もう少し対談そのものについて見て置くこととしたい(そんな訳で今回、話は事故車の怪に及ばないが、題はそのままにして置く)。
 53頁から3段組の対談本文で、1段22行、1行18字。
 当時の投稿欄の状況を説明した、冒頭部を抜いて置こう。53頁上段〜中段14行め、行頭の二重鍵括弧開きは半角。

大月 いろんな雑誌の投稿欄を担当され/ていて、どうですか、うわさ話の類は毎/日、かなり送られてきますか?
石丸 かなりきます。でも媒体によって/うわさの内容とか傾向は違っていて、た/とえば『投稿写真』に集まるうわさって/いうのは、ほぼ完全にアイドルがらみと/いう感じなんです。それも旬のアイドル/に、いま盛りのアイドルにまつわる話が/多いんです。これが『日刊アルバイト/ニュース』なんかになると、これはその/関東版の話ですが、アイドル関係ばかり/ではなくなる。たとえば、九月十三日に/大地震で東京が全滅するといううわさ。/これは有名なうわさで、いとうせいこう/さんとその周辺の人たちがそれを信じて/沖縄に逃げたとか、九月十二日に渋谷の/丸井のテラスみたいなところでバンドの/人たちが集まって、今日が東京最後のラ/イブだとかね、やってましたよ。
大月 自然現象にまつわるうわさもま/じってくるわけですね。『日刊アルバイ【上段】トニュース』で、どれくらいの部数出て/いるんですか。
石丸 関東版で一号百万部と聞いてます。/『投稿写真』ですと、三十万部くらい。
大月 三十万!
石丸 ただ不思議なのは、一般誌で三十/万部くらい出てると、すごく目につくし、/どういう糸が読んでるのか想像がつくん/ですか、『投稿写真』の読み手たちって/のは、もう全然わからない「見えない人/間」なんですよ。どういう服装して、ど/ういうことをしゃべってるのかわからな/くて、ということは、うわさの語り手の/イメージがきわめてアイマイなんです。


 大地震の噂の「九月十三日」は、この対談の直近の9月である昭和63年(1988)9月であろうか。私は当時、兵庫県在住であったためか、全くこの噂には接しなかった。しかし、ネットで検索しても俄にヒットしない。――当ブログで以前も書いたが、昭和末年から平成初年のことが、ネット上には特に情報が少ない。
 それはともかく、当時はインターネットのなかった時代、パソコンはあっても接続なんて考えなかった。そんな時代には雑誌の投稿欄が噂が流通する主たる舞台となっていたようである。しかしながら、雑誌を買わなかった(高校時代には全く読んでなかった)私には全く思い出がない。学部生時代、長期休暇には警備員のバイトを毎日やっていたが「From A」や「From A to Z」*1で探した。学生援護会の「an」は買わなかったと思う。別にこだわりがあった訳ではない。「an」の前身が「日刊アルバイトニュース」であることを今、初めて知った。
 「投稿写真」も、学部生時代にサークルの後輩が合宿に持って来たのを見たことがある(違う雑誌かも知れないが)くらいで、高校の部活や友人たちはそんな雰囲気でなかったので、私は自分の隣で展開していた世界に全く無知であった。しかし雑誌が10万100万単位で出ていた時代だったんですな。
 それはともかく、ここまでが前置きで、以後は3行取りでゴシック体2行(上に◆を上下に6つ中に7つ組み合わせた横帯がある)見出しがある。内容を細かく追って行く代わりにこの見出しを抜いて置こう。
・53頁中段15〜16行め「オーラルで流通したうわさが投稿される
・54頁下段7〜8行め「投稿者の二つのタイプ面白主義と実証主義
・56頁下段10〜11行め「うわさの回路郵便ネットワークと伝言ダイヤル
・58頁中段3〜4行め「語られるうわさから書かれるうわさへ
・60頁上段1〜2行め「うわさ製造機斎藤由貴男の人間像*2
・62頁下段13〜14行め「オニャン子クラブが開拓したうわさマニア
・64頁上段4〜5行め「うわさの標的になる芸能人のタイプ
・66頁下段15〜16行め「マニアの内輪話うわさ投稿者の心理
 これだけでも時代を感じるなぁ。葉書も手紙も今の何倍も書きました。おニャン子クラブは流行物に乗り遅れることを是とする私は殆ど見たことがなかったが、それでもあの歌くらいは知っている。
 それはともかく、55頁から69頁までの見開きの左、奇数頁の左側を細線の枠で囲って「うわさ投稿傑作選」として、石丸氏の扱った「うわさ投稿」の例が紹介されているのである。(以下続稿)

*1:河内家菊水丸がTVCMで「かーかきんきんかーきんきん‥‥」と歌っていた。

*2:9月28日追記】見出しだけでなく本文でも「斎藤由貴男」となっているが、9月27日付「石丸元章『ウワサを追いこせ!』(4)」に示した『ウワサを追いこせ 』のCONTENTS、30〜36頁「19874斉藤由貴男初登場!! 全国をゆるがす『フライデー』活動ここに始まる」や125〜131頁「19885さらば!! 斉藤由貴男、『フライデー』の謎明らかになる」にある通り「斉藤由貴男」が正しい。斉藤由貴(1966.9.10生)に由来する訳だし。