瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

今井正監督『ここに泉あり』(3)

 映画の中で、市民フィルハーモニー山田耕筰(1886.6.9〜1965.12.29)指揮するオーケストラと合同演奏会を開く場面、チャイコフスキーのピアノ協奏曲が演奏されるのだが、ピアノを吹替なしでプロのピアニストが担当している。
・室井摩耶子『わがままだって、いいじゃない。 92歳のピアニスト「今日」を生きる 2013年4月6日 初版第1刷発行・定価1,400円・小学館・195頁・四六判並製本

小学館文庫『96歳のピアニスト』 二〇一七年四月十一日初版第一刷発行・定価490円・188頁
96歳のピアニスト (小学館文庫)

96歳のピアニスト (小学館文庫)

 室井摩耶子(1921.4.18生)のことは、何年か前にTVのニュース番組の小特集で紹介されたのを見たので知っていた。名前まで覚えていなかったがどうもあの人らしいと思って、今はネットで映画の配役もすぐに検索出来るから便利である。
 そこでまづ文庫版を図書館で見付けて、本作に関する記述があることを確かめ、さらに巻末、186〜188頁「文庫版あとがき」に次いで、白紙が1頁あって、奥付の前の頁、下部中央に明朝体縦組みで小さく、

―――――――本書のプロフィール―――――――
本書は、二〇一三年四月に単行本として小学館から
刊行された『わがままだって、いいじゃない。―92
歳のピアニスト「今日」を生きる―』を改題し、加
筆改稿して文庫化したものです。
               構成/竹中はるみ

と由来が説明されているので、単行本も借りて見た。
 詳細な比較は別にすることにして、差当り本作に関する記述を見て置こう。
 単行本85〜115頁・文庫版79〜109「第4章これが最後の演奏会。ピアノをやめようと思ったこともあるわ。」には15節、単行本98頁6行め〜99頁(14行め)・文庫版92〜93頁、8節め「一度だけ、自分自身が映画に出たこともあります。映画『ここに泉あり』では岸惠子の敵役だったんですよ。」(「目 次」では、単行本12頁上段2行め・文庫版10頁下段15行め「○映画『ここに泉あり』では岸惠子の敵役」)がそれである。なお、「出たことあります」となっているのは、直前の7節め、単行本96頁9行め〜98頁5行め・文庫版90頁3行め〜91頁(13行め)「黒澤明監督の映画に私の“手”が初出演。原節子さんの白魚のような手の吹き替え役でした。」(「目 次」では、単行本12頁上段1行め・文庫版10頁下段14行め「○黒澤明監督の映画に私の"手"が初出演」)に、自宅のある成城に写真化学研究所(PCL)があった関係で映画音楽の演奏もよく依頼され、黒澤明(1910.3.23〜1998.9.6)監督とも度々組んでいたが、昭和21年(1946)10月29日公開『わが青春に悔なし』では演奏だけでなく、アップになるシーンで「手」だけ「初出演」した、と云う回想があったからである*1。(以下続稿)

*1:映画出演の回想はこの2節。