瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

高濱虚子「杏の落ちる音」(2)

 昨日の続き。
岩波文庫31-028-4『風流懺法 他三篇』(2)
 カバー表紙には緑地に白の横線が21本、中央上部、横線の4本めから12本めまでに掛かる黒の正方形、その上部に明朝体横組みで「風流懺法/他三篇/高浜虚子」とあって下部に緑で「岩波」の壺印。最下部中央、20本めの横線の上にゴシック体で「 28-4」下に明朝体で「岩波文庫」とある。
 カバー表紙折返し、縦組みで上部に紹介文。

風流懺法 他三篇*1
写生文から進展した虚子の小説は、淡々とし/ていながら濃やかな味わいを特徴とする。表/題作のほか「大内旅宿」「三畳と四畳半」「杏/の落ちる音」を収録。


 右下に小さく「カバー=中野達彦」とある。
 本体、1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)「目次」、5頁(頁付なし)表題作の扉、7〜32頁(12行め)本文、末尾に発表年月なし。
 33頁(頁付なし)「大内旅宿」の扉、本文35〜55頁、末尾(55頁6行め)に下寄せ「(明 治 四 十 年 七 月)  」。
 57頁(頁付なし)「三疊と四疊半」の扉、本文59〜79頁、末尾(79頁7行め)に下寄せ「(明 治 四 十 二 年 一 月)  」。
 81頁(頁付なし)「杏の落ちる音」の扉、本文83〜132頁、末尾(132頁14行め)に下寄せ「(大 正 二 年 一 月)  」。
 次に奥付。その裏は岩波茂雄「読書子に寄す」。
 続いて3段組の目録。1頁めは「《文庫リクエスト復刊'94年秋》」で頁付は下部ノド寄りに「Y」。
 2〜10頁めは「'94,7.現在在庫 A-1(〜3、B-1〜4、E-1〜2)」で、Aのノド側、BとE-1の小口側下寄せで「☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔B6判、並製・カバー〕もあります」とある(括弧は半角)。

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 解説類はないので、この文庫本で「杏の落ちる音」を読むと妙に生々しい感じがするものの、実は「十中の十皆殆ど事實譚である」と云うことが分からない。――この小説に登場するする老妓「お紫津」の生々しさは、やはり生々しい感じのする岡本かの子「老妓抄」の平出園子と、似た味わいを持った人物のように見せて置いて、後半は、全く違った展開になるのである。(以下続稿)

*1:ルビ「ふうりゆうせん ぽう」。