瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

虫の知らせ(1)

 昨晩、日付で云うと今日になるが、風呂から出て扇風機で汗を冷まし、寝る前に洗い物をしていた。――私の家は玄関入ってすぐ台所で、台所に隣接して風呂場がある。脱衣場はないので台所で着替えることになるのだが、玄関でもあるので水屋を置いて万一の場合でも外から見えないようにしている。それはともかく、洗い物をしていると、玄関の脇に何かがぶつかるのである。ちょうどそこに箒が立て掛けてあるのだが、その箒の柄が当たったような、虫にしてはしっかりした、妙な音である。それが3回ばかり、今度は玄関の反対側の脇の方で音が1度か2度、した。
 誰かいるのかと思ったのだが、自転車があるのでなかなかそんなところに入り込んで箒の柄を玄関の戸に打ち付けるような真似は出来ない。それに、玄関の戸の硝子に影が差しそうなものである。しばらく表に注意を向けて見たが、やはり何の気配もない。
 時計を見るに1時過ぎである。怖くはなかったが変な気持ちであった。しかし、表に出ようとは思わなかった。本当に人がいたら、そんなのは変な奴に決まっているのだから、遭わない方が良いに決まっている。人ではなく動物だったら、6月1日付「睡眠不足(2)」に述べた、5月末に出没した穴熊は今はいないようだが、何れにせよ玄関の鍵を開ける音で逃げて、戸を開けた頃には影も形もないだろう。
 そのまま寝て、別に何ともしなかったのである。何だったのかさっぱり分からない。――これで何かあったら、虫の知らせとか云うことになるのだろう、と思ったのである。
 2014年9月16日付「遠藤周作「幽霊見参記」(2)」の最後に述べた金縛りのように、別にそういう体験だと思わなければ、そういう体験ではないのである。全て解釈の問題であって、虫の知らせも、そんな類が多いのではないか、と思うのである。(以下続稿)