瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

閉じ込められた女子学生(20)

 11月1日付「校舎屋上の焼身自殺(12)」から、2ch(5ch)のスレッド「美大の幽霊対決」に見える、女子美術大学の話を拾って見ることにして、11月2日付(18)で暗室に閉じ込められた話を見たことから、11月3日付(19)では別の美術系大学の類話に及んだのでした。
 今回また女子美術大学の話に戻るのですけれども、「閉じ込められた」話ではないので題をどうするか少々困りましたが、話はそれとも絡むので、一応この題で上げて置きます。
 2001年11月28日午後にHN「もと寮生」が「252」番めに、

女子美短の寮
自分は霊感がないので、体験したのはこんなところ。
・屋上で洗濯をしてると、後ろを誰か通っていくけど、物干場にでても誰もいない。
・寮ではスリッパ履くけど、深夜パタパタと歩く音がして、廊下に出ても誰もいない。
 
屋上から投身自殺して焼却炉に頭突っ込んだ話が有名でした。

幽霊話ではないけど、一番怖いと思ったのは春、部屋に入ったらベットわきに/ポスターが貼ったままになってて、好みでないので剥がしたら、小さな文字で/びっしりと寮生に対する恨みつらみが書き綴ってあった、とか。
でもなにより、●●学の助手が門限後(入り口に鍵が掛かる)露出魔として付/近に出没してたのが凄い。外から懐中電灯で窓を照らし、なんだろう、と窓を/あけるとジャージをおろして、大公開。変装しててもモロバレ。
 
焼身自殺は同級生だから勘弁ね。

と纏まった書き込みをすると、翌11月29日の晩にHN「女子美寮生」が「253」番めに、

私も女子美短の寮生だった。
私の聞いたハナシ
2階の談話室、夜、課題とかやってると出るらしい。/首のないヒトが部屋を横切るって。/その証拠に壁に御札が貼ってある。/そのハナシを聞いて他の寮生と談話室見にいったら、本当に御札貼ってあって、ゾっとした。
あと、鏡のハナシは良く聞く。/寮の洗面所で、ちょうどトイレの見える鏡は映るから取り外してあるって。/ホントかどうかは解らないけど。
時計塔、途中まで登った。/落書きがスゴイ怖かった。基地外ジミてて。だからすぐ降りた。
 
寮が戦時中病院だったってホントなのかな?/だとしたらその寮で2年間も暮らしてたなんて、怖すぎる・・・。

と、やはり纏まった書き込みをしております。「戦時中」のことは11月1日付「校舎屋上の焼身自殺(12)」に引いた「89」番に見えていますが、そこまで古い建物ではありません。
 この「253」番は在学時期がいつなのか分かりません。しかし「時計塔」の話題の出し方からして、焼身自殺の後であるように思われます。
 「252」番は「焼身自殺は同級生」が手懸りになります。「女子美短の寮」と題していますが短大生だけの寮はなかったらしく、これもやはり短大生も4年制の大学生も入寮していた和田寮で、このように題していることによって「252」番(及び「253」番)が、4年制の方ではなく、女子美術短期大学の学生であったことが察せられます。
 自殺者は10月15日付(12)の最後に考証したように昭和38年度生、昭和57年(1982)4月に4年制に入学している勘定になります。――単科大学かつ同じキャンパスですから短大と4年制で授業が重なるようなこともあったのかも知れませんが、常識的に考えると短大と4年制の授業は余り重なりそうにありません。してみると「同級生」と云うのは付属高等学校のときのことでしょうか。そうすると「252」番は焼身のあった約2年前、昭和59年(1984)3月に短大を卒業したことになります。――夏休みにロッカーで学生が死亡していた事件は、10月19日付(16)に考証したように昭和60年(1985)夏と思われますから、「252」番は既に卒業していた勘定になります。
 そうすると、川奈まり子実話怪談 出没地帯』では、10月17日付(14)に見たように、ロッカーの一件を「寮の怪談の大元」と見なしていますが、実はそれ以前から種々の怪異が語られ、体験されていたことになります。
 露出魔の件は、今だったらすぐに通報出来ますし、誰でも撮影出来ますが、当時は夜間撮影が困難でしたし現像しないといけません。それでこのように、ある意味大らかな対応になってしまったのだろうと思います。
 それはともかく、「253」番は平成になって以後の短大生で、ロッカーの一件については知らなかったのかも知れません。川奈氏が実話怪談 出没地帯』に引いた和田寮の怪異は、10月9日付(06)に引用したオリジナルに遡ることで平成4年(1992)前後と見当が付けられるのですが、ロッカーの一件を寮生だった友達は聞かされていなかったようです。――この件はどうも、知っている世代の卒業とともに焼身自殺のように広まることなく終わったらしく思われるのです。
 とにかく在学時期の情報があるのとないのとで、読解可能な情報に格段の違いが生じてしまいます。この点を改めて強調して置きたいと思います。(以下続稿)