瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

校舎屋上の焼身自殺(26)

・鶴川学「恐怖の"焼身自殺実況ビデオテープ"」(6)
 11月8日付(16)の投稿直後、自殺者を直接知っていると思しき方よりコメントがありました。それから11月11日付(19)の投稿直後にも、炎を目撃したと思しき方よりコメントがありました。
 特に関心があった訳でもないのに、卒業生の作家の不注意な記述への疑問、と云った瑣末なことから、11月13日付「美術の思ひ出(2)」に述べたように担任の美術教師の忠告を無視して今や美術の才を全く見失ってしまった私如きが、ここまで深入りしてしまって良いものかと思いつつ、しかし妙な尾鰭の付いた話や不正確な断片、そして正確ではあってもやはり断片的な情報しかネット上にない現在、当時の纏まった分量を持つ週刊誌記事や、新聞各紙の記事を取り上げることは、決して無意味ではないと思ったのです*1
 だからと云って、私は確かなところを示して尾鰭を否定する者ではありません。むしろ、妙な尾鰭が気になって、正確な事情が気になる口なのです。
 今後も当時の報道を見付けたり、妙な尾鰭を目にしたときには再開するつもりですが、ここで一旦、女子美術大学の事件についての報告は切り上げることにします。そこで一応の纏めとして、この事件について美大生や予備校などで語られ続けている理由について述べた、鶴川学「恐怖の"焼身自殺実況ビデオテープ"」の結論部分を見て置きましょう。10月30日付(10)の引用に続く部分です。155頁2〜11行め、

 「どれだけいい美大に入ったからといって、皆が皆、絵描きやデザイナーになれるわけじゃない。/けれど、今更やめるわけにはいかないし、美大に来る人間というのは内向的な人間が多い。『自分/には才能がないんじゃないか? なくなるんじゃないか?』という、不安はいつも漠然とあったし、/多くの美大生が感じていた不安だと思う。そして、卒業制作のプレッシャーというのはとてつも/なく大きいもので、『卒制を苦に自殺』という出来事が完全な他人事とは思えない。そんな美大生/特有の『心の隙間』に入り込んで生まれた都市伝説なのかもしれませんね」
 某美大出身者は、美大生の誰もが多かれ少なかれ抱えていたであろう「不安」が、この都市伝説/を生んだのではないか――と語った。
 T大で語られる自殺ビデオの都市伝説は、もしかすると、多くの美大生が抱える苦悩が生んだ、/切ない物語であったのかもしれない。


 この談話は「週刊新潮」に載った、林学生課長(当時)及び林助教授(当時)の談話と重なるところがあります。
 結局のところ、思わせぶりな題を附した「週刊新潮」も本当の自殺理由を解き明かしたものではありませんでした。大体の事情は察せられるのですが、この後、それがより明確にせられたのかは、続報がないので分かりません*2。(以下続稿)

*1:私は仮名には反対の意見を持っているのですが、妙な按配に拡散されることもありますから、やはり伏字にして置きました。

*2:なお、少々不審があるので取り上げませんでしたが、自殺者名で Twitter 検索すると、やはり高校からの友人だったと云う、今年55歳の女性の tweet が幾つか(2015年3月・2016年1月・4月)ヒットします。しかしながら、どうも1984年10月にあった原因となる出来事の直後に(ガソリンで)焼身自殺した、と読めるのです。しかし実際には、この女性が挙げる原因とされる出来事から自殺まで1年3ヶ月開いているのです。従って、これら一連の tweet については、差当り保留することとしました。