瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(69)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(5)
 末広氏が書いた「山の宿の怪異」の2つの本文――「山と高原」第二三三号54〜56頁に掲載された「雪の夜の伝説」、「あしなか」第弐百弐拾四輯13〜17頁に寄稿した「山の伝説――古い山日記より」との比較の続き。
 順を追って見て行っても良いのですが、まづ、既に引用してある「山の伝説」の本文に対応する箇所から見て置きましょう。すなわち、9月8日付(49)に見た【I】巡査の来訪と男の追跡に相当する箇所から、要領は一昨日に同じで「雪の夜の伝説」の本文を引いて異同を太字にして示しました。55頁3段め13行め〜56頁1段め1行め、

 それから十分もする、又もや表の戸/を激しく叩く者がある。「開けてくれ」主/人はもう我慢が出来ない程気味が悪くなっ【3段め】たので、返事をしなかった。子供は、お/びえつつ更にすがりついて来た。
「おい開けてくれ、私だ。駐在巡査のM/だ」
 確に巡査の声である。主人は表戸を開/けた。巡査は和服で突っ立ってい
「早速だが、お前の所に洋服を着た四十/ばかりの男が来やあしなかったかね」
「来ました」
泊まっているかね」「ことわりました。たった今、ここを出て行きました
「今、そうかね。有難う」巡査はすぐに/雪の山道を走り去った。と思うと、白樺/の林の方にあたって、激しい人声が起っ/た。主人は鉄砲を持ち出してその方向に【55】走り出した。‥‥


 「山の伝説」は「雪の夜の伝説」にかなり細かく加筆しています。従って異同を示すには「山の伝説」の本文を示した方が良いのですが、「山の伝説」の本文は繰り返しになりますし「雪の夜の伝説」の本文をまだ示していないのでこのようにしました。もし論文化するような機会があれば、①「深夜の客」→②「蓮華温泉の怪話」→③「雪の夜の伝説」→④「山の伝説」の順に整理し直して、それぞれどのように改編しているのかを示すのですけれども。その折には①②の本文は『山怪実話大全』ではなくそれぞれ初出に当たることとしましょう。尤も。末広氏の書いたものをそこまで重く扱うべきかと云う疑問はありますけれども。(以下続稿)