瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小金井喜美子『森鴎外の系族』(4)

 1月9日付(3)の続き。
 1月10日付「小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(3)」に見た、岩波文庫31-161-1『鴎外の思い出』では口絵はカバー表紙や本文中などに分散させられていたが、本書の口絵では文庫版(岩波文庫31-161-2)でも纏まって、同じ順序で掲載されている。キャプションは明朝体
 単行本1頁めは右(ノド)を上に横転した、懐手で腕組みした黒紋付の男性2人の写真で、下(小口)に横組みで「   森  林 太 郎       森  篤 次 郎   /明治三十年一月十九日森 林太郎誕生日に觀潮樓玄關にて」とのキャプションがある。各字間は1字分ずつ余計にあるのを詰めた。文庫版では図版は横転させず。3頁は上下に余白を広く取り、写真は半分以下に縮小されて下に横組みで「  森 林太郎           森 篤次郎  /明治30年1月19日 森林太郎誕生日に観潮楼玄関にて」とのキャプション。
 単行本は裏は白紙。なお、私の手元にある単行本にはこの1枚がないので、国立国会図書館デジタルコレクション及び復刻版に拠る。どうも、剥がされたようである*1
 単行本3頁めは文庫版4頁、書状の写真が上下2通、それぞれ下に横組みでキャプション、上の1通には「(書返のていつに知通状病爵伯井龜の中在滯林伯)蹟筆男靜 森」、下の1通には「(宛精良井金小りよ林伯月五年一十二治明)蹟筆郎太林 森」。単行本では上の1通は左に寄っているが文庫版は中央に位置させ、下に「森 静男筆蹟(伯林滞在中の亀井伯爵病状通知についての返書)」、下の1通は「森 林太郎筆蹟(明治21年5月伯林より小金井良精宛)」。
 単行本4頁めも上下2通でともに横組みで下に「蹟筆郎次篤 森」とあり、さらに小さくもう1行ずつ、上の1通(葉書の表裏)には「(簡書しせ知通を儀葬の氏善佐へ林伯)」、下の1通には「(書葉の内案に座伎舞歌を郎三潤弟・榮保久大)」と添える。文庫版5頁では、この「森 篤次郎筆蹟」の上の1通はやはり中央に位置させている。
 単行本5頁めは、後に『鴎外の思ひ出』単行本口絵1頁め(文庫版301頁)に再度掲載することになる集合写真を上部に載せ、下部に全19人を文字で対応する位置に縦組みで示す。文庫版6頁も同様である。『鴎外の思ひ出』のような撮影時の説明がない。写真は単行本はそれぞれほぼ同じ大きさ(単行本は本書の方が若干大きく、文庫版は『鴎外の思い出』の方が大きい)だが、『鴎外の思ひ出』の方には白い靄が掛かったようになっているのが本書には(まだ)ない。
 単行本6頁めは胸から上の肖像写真が3つ、上段に2つ、下段左に1つ、下段右の余白の中央に縦組みで3行「上右 父  森  靜 男/上左 母  森  峰 子/下  祖母 森 き よ 子」とある。文庫版7頁はこのキャプションを右下に寄せて「上右 父 森 静 男/上左 母 森 静 子/下 祖母 森 きよ子」。
 単行本は次が一頁(頁付なし)中扉で上部中央に大きく標題。文庫版は15頁(頁付なし)が中扉。裏は白紙でその次の頁から本文。(以下続稿)

*1:逆に、国立国会図書館蔵書をもとにした雑誌の復刻版で、あるはずの図版を欠いた例を知っている。記事を読むと図版があったことが分かるし、別の図書館で私が閲覧した原本には折り込み図版が存するのだが、復刻版製作に当たってそこまでチェックしなかったらしい。――とにかく復刻版がどこまで原態を保存・再現しているか、注意が必要である。