瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

村松定孝『わたしは幽霊を見た』考証(14)装幀

 この記事は、ブログへの移行に際して久し振りに目を通した1000件近い下書き記事の中から取り出したもので、2011年2月1日夜に登録して、2011年2月15日の晩まで加筆している。番号は(12)だったが、2011年4月1日付(13)まで進んでいるので(14)に改めた。
 ここに取り上げた3冊のうち1冊は今となっては利用出来ない図書館の蔵書で、もう1冊は検索してもヒットしなくなっている。すなわち再調査が難しい状況にあるので、以下、旧稿に手を入れずに原注もそのまま上げて置くこととする*1

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 ここで、『わたしは幽霊を見た』の装幀についてまとめておきましょう。
 私は第1刷(昭和47年11月24日)と第11刷(昭和51年)と第17刷(昭和54年9月30日)を手に取ってみました。
 表紙絵ですが、いくつかのブログに上がっています。
 初見健一のHP「初見健一のweb site * 東京レトロスペクティブ」などにある、振り袖の少女の絵は、本体の表紙絵です。
 第1刷はカバーのない状態のものを見ました。
 この本体の背表紙は第11刷も第17刷も同じのようです。本体の表紙・裏表紙については、第11刷も第17刷では確認できませんでした。

 カバーは2種類あるようです。第11刷のカバー表紙は、1月7日付(02)に取り上げたネットラジオの語り手のブログ「ファンキー中村の“おっかねえかも知んない”話」や「まんだらけ 中野店 4F 大予言『わたしは幽霊を見た』(冷微笑)再入荷」・広岡祐のブログ「POLOTE DE GUERRE-歴史ライター兼写真家 ヒロオカユウのページ-」その他に上がっている、海軍士官やらお菊人形やら白装束の娘やら赤目やら吃驚顔やら何やらがいっぱいに並んでいる絵で、左上の枠内ににふくろうのマークと「少年少女/講談社文庫/科学・記録となぞなぞ」、その下「わたしは幽霊を見た」と黄色い文字(輪郭は青)とタイトルが入り、その下左寄りに著者名が入ります。背表紙は青ざめた少女の顔が一番上にあって、青地に白抜きの明朝体「わたしは幽霊(ルビゆうれい)を見た」、下部にかまぼこ型に白いスペースがあって、ここにふくろうのマークと「C  14/〈少年/少女〉講談社文庫|450円」の文字があります。
 ネット上には裏表紙が上がっていませんが、第11刷では、全体が絵で、白い石なのかそれとも雲なのか、そこに枯木が並び、背後は深い闇で、その中に3人(女性2人男性1人)の顔が浮かぶという不気味な図柄です。左下に横書きで「450円/8139-540143-2253 (3)」とあります。
 カバー表紙折返しには桃色の地(下に行くにつれ間隔が詰まる白の横線入る)に大きな明朝体(総ルビ)で、

うらみの声、悲しみの声、さ/まざまなのろいをこめて、生/き霊が、死霊が、今もなお、わ/たしたちのまえに現われる。

とあります。その下に横書き2行で「カバー絵/堂 昌一」「装  丁/岩本正雄」とあります。最下部に表紙とは違ったポーズをとった黒赤2色刷のふくろうがいて、吹き出しに「この文庫は/ふくろうの/本と/よんでね」とやはり総ルビであります。カバー裏表紙折返しも黒赤2色刷で「ふくろうの話」として、「古代ギリシア」でいかにふくろうが尊重されていたかが、銀貨や女神像などの写真を掲載して解説してあります。
 見返しは、八弁の花がびっしり並んだ模様で中心にふくろうのマークが淡い黄緑色であります。


 第17刷のカバーは、小磯卓也のブログ「ReguRegu日記「ReguRegu」の小磯卓也の日々」に挙がっているものと同じです。表裏ともに白地に1.8cm間隔で金色の太陽(?)の紋章が並び、表紙の絵は縮小されて背景もなく顔も2人省略、不気味さも抑えられています。第11版にはあった、敬礼する海軍士官の背景の、爆発する軍艦もありません。上部に「わたしは幽霊を見た」と青でタイトルが、その下に著者名が入り、そして右下隅にふくろうのマークを取り囲むように「少年少女講談社文庫C-14/科学・記録となぞなぞ」とあります。背表紙は水色地(青が褪色したか?)に白抜きゴシック体「わたしは幽霊を見た」その下が白地にふくろうのマーク、最下部は再び水色地に黒ゴシック「〈少年/少女〉講談社文庫」白抜き横書き「C-14|480円」とあります。カバーの裏表紙には青ざめた少女の顔が中央上部にありますが、これは第11刷のカバーでは背表紙の上部にあったものです。そして、その下に

さまざまな「うらみ」や「心のこり」を/残して、人間は死んでいく……。/心もこおる「生き霊」や「死霊」が、/まぼろしとなって出現し、/ねむっているきみの心のとびらを、/ほとほとと、たたく……。/この本が、きみに霊界への戸をひらく。

との文が青いゴシック体であります(総ルビ略。「死霊」のルビは「しれい」)。左下に「480円  8139-540144-2253 (4)」と横書き1行で入っています。
 カバーの折り返し(そで)には

「おや、いまごろ、だれだろう。」夜中、ト/ントンという音に、宿直室の桑島先生は気づ/きました。……この音が、実は死霊が戸をた/たく音だとは。だれが思ったでしょう。

と青い角切り枠内(地は薄い青)の4行罫に明朝体(総ルビ)であって、枠下に横書き2行で「カバー絵/堂 昌一」「装  丁/岩本正雄」とあります。

 裏表紙の折り返し(そで)には「●おもしろい“ふくろうの本”」として8種、その下は「ふくろうの話―――/少女講談社文庫のペットマーク」の説明が、いずれも横書きで入っています*2

 なお、第11刷の奥付には「昭和47年11月24日 第1刷/昭和51年 第11刷(C)」。第17刷とは若干が異なるところがありますが記述は略します。

*1:リンク先を確認せずに投稿したが、全て現在でもアクセス可能であった。

*2:この「ふくろうの話」の上に貸し出しカードのポケットが貼付されているので、内容未確認。第11刷の半分くらいのスペースしかない。