瑣事加減

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赤いマント(211)

・朝里樹 監修『大迫力! 日本の都市伝説大百科』2019年9月5日 発行・定価1300円・西東社・223頁・A5判並製本

大迫力! 日本の都市伝説大百科

大迫力! 日本の都市伝説大百科

 オールカラーで横組み左開き、低学年でも読めるよう総ルビ。223頁の裏にある奥付には発行日が入っていない。裏表紙折返し下部にも奥付があって、こちらに発行日が入っている。
 『日本現代怪異事典』のビジュアル版と云うべきもので、『日本現代怪異事典』から84項(6~11頁「もくじ」及び222~223頁「都市伝説リスト(50音順)」)を抜き出して、12頁「本の見方」に拠れば「都市伝説の名前」そして見開き全面に標題にある通りの大迫力の「都市伝説の絵」、白抜きの「解説」、隅に囲みの「データ」に分類、危険度、場所、特徴、時代の5項目を示す。大半の項目は見開き2頁でもう1つ、隅に囲みで「調査レポート」を示すが、一部の項目は4頁で「調査レポート」を3~4頁めに見開きで展開している。
 1頁(頁付なし)扉、2~5頁「都市伝説の世界への誘い」は概説で各頁2項ずつ、8項にその特徴を纏めている。
 13頁(頁付なし)「一章 不吉な怪異」の扉。14~65頁に21項。
 67頁(頁付なし)「二章 迫りくる影」の扉。68~117頁に21項。
 119頁(頁付なし)「三章 闇との遭遇」の扉。120~169頁に21項。
 171頁(頁付なし)「四章 呪われた噂」の扉。172~221頁に21項。
 すなわち各章21項ずつ、そして三章までは扉の前の頁を、66頁「言葉遊びの都市伝説」118頁「有名すぎる都市伝説」170頁「消えゆく都市伝説」と、コラムに使用している。
 以前から私は、「監修」とは具体的に何をしたのだろうと思っていた。院生になって、多忙な大学教授の「監修」には《名義貸し》が多いらしいことが分かって来た。いや「著」とか「編」となっていても実際の作業は弟子や出版社の編集員がやっていたりするようで、実際の作業は本書の場合、奥付の「編集協力/えいとえふ」がその多くを担当したのだろう。尤も、朝里氏はまだそこまで大物ではない(だろう)から、項目の選定やイラストの図柄の指定等にも参画しているかも知れないが、細かく検討した訳ではないが(これから若干の項目についてする予定)『日本現代怪異事典』から逸脱するような内容は含んでいないようである。すなわち、選定された項目について(或いは項目の選定から)編集協力の方で行い、12頁「本の見方」に合わせて必要事項を抽出して、纏めたものであろう。こうして出来上がった素稿に、朝里氏が「監修者」として手を加えることもあったであろう。
 エディターユニット「えいとえふ」は、編集者・ライターとして10年以上の経験を持つ女性、AとFの2人組で、その tweet によって編集や「監修」の舞台裏を窺うことが出来るようである。
 178~179頁「赤マント」は「四章 呪われた噂」の4項め(通しでは67項め)で、178頁には軍服を着た若い男が赤いマントを羽織って、特に物陰に隠れるでもなく、179頁、とお角を歩いている小学生の3人(女2人に男1人)を、閉じた口から少し舌を出しつつ、いやらしい目で見詰めているところを描く。
 私はこのイラストを、赤マント流言の実態に即していない、甚だ問題のあるビジュアル化だと思っているけれども、これまで、自明のこととしてこの赤マントの軍人がモデルになったと云う説をまともに取り上げて来なかった。残念ながら昭和14年の赤マント』は、赤マント流言80周年の今年中に刊行出来そうにないとの見通しが付いて以来、遅々とした進行になってまだ準備中だけれども、このようなビジュアル化がなされた以上、やはりこれについてもきっちりと取り上げてみようと思ったのである。余り気乗りはしないのだけれども。(以下続稿)