瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

上方落語「三年酒」の原話(17)

 一昨日からの続き。
 古いところでは既に次の本に『博物志』が典拠である旨の記述があった。
桂米朝『四集・上方落語ノート』平成10年1月10日発行・定価2500円・青蛙房・269頁・四六判上製本
 『上方落語ノート』は、卒業論文から大学院の修士課程まで、私は説話の原話研究みたいなことをやっていて、そこで上方落語が説話の宝庫であることに気付いて、ここを押さえることが出来れば日本の説話――笑話の系統について、土台を固めることが出来ると思い、とにかく上方落語を一通り眺めて置こうと思って、録音は当時東京の図書館にも所蔵されていたカセットテープの『桂米朝上方落語大全集』や、続刊中のCD『特選 !! 米朝落語全集』を一通り聞いた。CDでは再生が終わっても電源が切れないので、CDはカセットテープにダビングして再生が終わったら電源が切れるようにして毎晩聞いていた。途中で寝てしまうのである。今は、そんなものを聞かなくても寝てしまうが、就寝時間は余り変わらないのに朝が早いから、これでなかなか寝付かれなかったら死んでしまう。昔は電源が入っているCDラジカセの発する微妙な音で目が覚めてしまうくらい、繊細だったのだけれども(笑)。
 さらに宇井無愁の落語原話研究に進んで、その辺りから、あらぬ方角に進んで戻って来られなくなってしまったのだけれども、私が学部生だった平成初年に刊行された『三集・上方落語ノート』までは今でも何となく覚えているくらい、繰り返し、良く読んだのである。しかしながら、遅れて刊行された『四集・上方落語ノート』は、今、読書記録に当たって見るに、2000年3月2日から14日に掛けて読んでいるのに殆ど印象に残っていなかった。当時、博士課程に進学して、説話からは離れていたので、一応目を通したけれども、それまでになってしまったようだ。いや、この前後の読書記録を事の序でに眺めて見るに、何のために読んだのか、内容も全く覚えていない本が多々挙がっている。どんな本でもとにかく1日1章読むことにしていたため、とにかく色々な本に手を出していたようである。しみじみ、若かったと思う。
 扉に続いてアート紙の口絵8頁(頁付なし)に藝人の集合写真を中心に15枚、その多くに長文のキャプションがある。
 1~2頁、桂米朝「序」は「平成九年十二月」付。
 3頁(頁付なし)は「目 次」の扉で、4~5頁見開きに細目を示す。
 7頁(頁付なし)は中扉で上部中央にやや大きく標題。前後の頁は白紙。
 9~11頁「中国産の落語」は上方落語「骨つり」東京落語「野ざらし」「支那の野ざらし」について、「月刊しにか」平成二年十月号の転載。
 12~15頁「一枚の切符」は大阪万博まで大阪の町に存した切符の立売りと云う商売についてのエッセイで、「季刊おおさかの街路」三〇号(一九九三年三月刊)の転載。切符の立売りには私も出会ったことがあるので、これは別に記事にしよう。
 16~34頁「「算段の平兵衛」考」は、村上浪六『毒舌』から「算段の平兵衛」に関する8節を引用して考察している。『毒舌』の刊年が出ていないが昭和2年(1927)刊。末尾に(平成五年四月)とあるが初出の媒体は出ていない。
 35~42頁「「狸の化寺」の解説」は立風書房版『続米朝上方落語選』の解説の再掲。末尾に(平成四年五月)とある。
 43~58頁「森幸児師のこと」は、小学生の頃から見ていた曲芸師について。末尾に(平成九年九月)とある。
 59~84頁「ネタ裏おもて・その四」は以下の6項、59頁2行め~64頁3行め「ぶらりしゃらり」末尾に(平成五年八月)、昔話の類話について。64頁4行め~68頁6行め「「長名」の原典*1」末尾に(平成四年八月)、『続・上方落語ノート』の「長名について」から「妙法蓮華経陀羅尼品、第二十六」に「陀羅尼神呪」がその原典であるとの教示を得る。67頁13行め『醒酔笑』は『醒睡笑』が正しい。68頁7行め~71頁10行め「「三年酒」の原典」末尾に(平成五年八月)、詳しくは次回確認することとする。71頁11行め~75頁9行め「やえん後家」末尾に(平成九年十二月)、「猿後家」の別名(?)で「サル」が昔は楽屋での忌み言葉であったための言い換え。75頁10行め~81頁6行め「「うちがえ」という意味」末尾に(平成五年八月)、日本ワシタカ研究センター所長中島欣也からの手紙に拠る教示。78頁6行め「小学館の『日本国語辞典』」は『日本国語大辞典』であろう。81頁7行め~84頁10行め「雅興春の行衛」末尾に「これらについては又の機会に書く。」として下寄せで(平成六年十一月)と添える。寛政八年(一七九六)刊行、五冊組みの小咄本の紹介だが、続稿はあったのだろうか。(以下続稿)

*1:「目次」は「原点」と誤る。