瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

青木純二『山の傳説』(05)

 本書の諸版については8月11日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(098)」及び9月25日付(01)に、初版(丁未出版社版)と覆刻版(大空社版『柳田國男の本棚』第五巻)についてメモして置いた。しかしながら、私の見た初版は図書館で製本屋に製本させた緑色の表紙に代わっていて原装ではなく、覆刻版は『柳田國男の本棚』と云う叢書に共通の装幀になっており、判型も変更されている。国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧出来る白黒写真も、やはり原装ではない。
 本書は古書店に幾つか出ているが、余り売れない本なのか、画像付で紹介したWebサイトはないらしく、画像検索してもヒットしない。古書店に出ているものには「函」を存しているものもあるが、図書館蔵書は函を保存しないので、やはりどんなものか分からないままであった。
 そこで、原装の本書初版を見ることをほぼ諦めていたのだが、意外に身近なところに所蔵されていた。

【御提案】瑣末亭編で青木純二『山の伝説』を復刊しませんか。
 伝説の取り扱いについて、柳田國男の考え方に近い私は本書を余り評価していません。しかしながら、昨今の山の怪談ブームの中にあって、多くの後進に(良くも悪くも)霊感を与えた本書が等閑視されている現状を見るに忍びず、さらに多くの影響作が発掘されるであろうことを願って、敢えて名乗り出るものです。
 各話に【典拠】と【展開】として、青木氏の依拠した文献、そして『山の傳説』の影響を受けた伝説集を挙げ*1、本書が如何に多くの影響を及ぼしているか、附記します。
 さらに解説として「青木純二『山の伝説』の成立と展開」そして「青木純二略伝」を附け、初めて本書及び著者について、正当な位置付けを試みます。


 もし、上記の復刊計画が実現するならば、所蔵元に依頼して写真を撮影し、これを口絵として掲出したい希望である。いや、古本屋で函を存している初版を購入しても良いと思っている。
 原装の初版は厚さ 3.0cm、白い木綿布装であったが表紙・裏表紙は全体に薄汚れ、丸背の背表紙は黄土色に変色している、
 表紙には文字はなく、箔押しした枠(18.2×11.2cm)があって、右辺の下寄りに枠線(幅 0.1cm)に接するように、小さく箔押しで縦に「uすゐ」とある。「うす井」姓の装幀者が考えられるが今のところ候補を挙げ得ない。上辺から 4.9cm のところに黒の太線(9.3cm、幅 0.2cm)があって、その上に中腹や麓に雲の掛かった山々が、やはり黒で描かれるが、これらも窪ませてある。
 背表紙は木版風の文字で、上部に大きく標題「山の傳説」、1字分空けて中央に副題「日本アルプス編」、2/3字分空けて同じ大きさで「青木純‥」とあるが「二」は分類票貼付のため読めない。その下の文字の有無も不明。
 裏表紙、最下部右寄せに明朝体横組みの空押し「行發社版出未丁  京東 」。
 見返しは経年劣化で黄土色っぽくなっているが、特に色紙などを使用していない、やや厚い紙が使用されている。(以下続稿)

*1:当初は可能な限り挙げるつもりだったが、現在は昭和40年代頃までを中心に、冊数を絞って点検する予定。