瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

日本の民話35『越中の民話』(2)

上製本新編日本の民話16 富山県一九八五年十月一日初版発行 特装版第一刷・262頁
 体裁は2011年10月26日付「浅沼良次編『八丈島の民話』(3)」に取り上げた、『新編日本の民話46 八丈島』に同じ。共通するところはここには省略する。
 和紙風の扉に「新編〈日本の/民話〉16」の双書名の下に「富 山 県/石崎直義伊藤曙覧佐伯安一」とある。これは12月21日付(1)に見た日本の民話35『越中の民話』の順番と異なっているが、これはこの『第一集』では伊藤氏が中心となっていたが、『第二集』は石崎氏単独の編集となっており、この2冊を抱き合わせた本書は石崎氏の担当部分が多くなっているからである。
 次にカラー口絵「狐に化かされた山伏」のイラスト(裏は白紙)、山伏が法螺貝を吹いて狐を驚かせるところ。1頁(頁付なし)は「富 山」のイラスト地図で、「日 本 海」に面し、隣接する「新 潟」と「長 野」との県境に「白馬岳」「鑓ヶ岳」、「長 野」県境に「鹿島槍ヶ岳」、「長 野」と「岐 阜」との県境に「三ッ俣蓮華岳」、その北に「薬師岳」。立山劔岳はない。「岐 阜」と「石 川」との県境に「笈ヶ岳」、「石 川」との県境に「医王山」。県域には横長の枠に、左から[小矢部][永見][砺波][高田][新湊][富山][滑川][魚津][黒部]の市名。永見は氷見の誤り。現在、砺波市の南に新たに南砺市が出来、新湊市射水市になっている。他に伝承地に題が書き込まれている。西から3列、まづ呉西地方に「狐に化かされた若い衆・鳥の糞を拾うていった小僧・そば屋へ聟入りした雷・長い長い話・籠で水汲めぴーひょろろ・婆さの正体化け狐・閻魔さまになった八左・愚者につける薬が無いもんか」8題、呉東地方の富山附近に「寝小便垂れて見ていた夢・舌切り雀・天狗をだました若い衆・狐に化かされた山伏・聟さがし・うそくらべ」6題、東部に「豆腐の病気・雪女有難やの爺さま和尚はんに負けた赤鬼・お守り札と小僧ま・だらの話・山の者にやりこめられた町の商人・蜂と蟻と蜘蛛・山椒となんば」9題、合計23題が記入されており、うち仮に太字にした11題はごく小さくイラストが描き入れられている。
 2頁(頁付なし)の「『新編 日本の民話』  凡 例」8項目のうち、2011年10月26日付「浅沼良次編『八丈島の民話』(3)」に引用した5項めと7項め以外の項目についても見て置こう。まづ1~3項め、

一、『新編 日本の民話』は未来社版『双書 日本の民話』(全79巻)を底本とし、新しく/  編集しなおした。
一、その際新しく編著者を入れ替えたり共編として新しい編者を加えたものもある。
一、『双書 日本の民話』の各巻の書名は旧国名を使用した場合と,現県名を使用した場/  合とあったが、『新編 日本の民話』では現県名に統一した。

とあって、本書には3項とも当て嵌まる。
 さて、本書は日本の民話40『八丈島の民話』1冊を元にした『新編日本の民話46 八丈島』と異なり2冊から編集されている。従って、8項め、

一、『新編 日本の民話』は四六判・二五〇頁前後とし、各地方の代表的民話を厳選して/  収録することとした。

との編集基準がより厳しく適用されていることになる。この厳選については6項め、

一、統一基準を実現するため編集は〈民話の会〉の吉沢和夫、水谷章三の両氏に協力して/  もらった。若干については編者の自選とした。

とある。石崎直義(1904~1991.5.23)は本書刊行時、まだ著述活動を続けていたようであるが、本書に「自選」があるかどうかは不明。
 3~6頁「まえがき」の前半(3頁2行め~12行め)は、4頁8行めに下寄せでやや小さく「――「越中の民話」第一集より」とあるように、日本の民話35『越中の民話』1~2頁「はしがき」からの引用である。異同は「は し が き」が「ま え が き」に代わっている他、3頁15行め、『第一集』1頁13行めの最後にあった「このことは、各部さいごのわらべうたについても同様であります。」の一文が、「凡例」5項めにあるように本書からは「わらべ唄」が割愛されたために削除されている。また『第一集』2頁4~5行め、

 末筆ながら、本書の出版にあたって、未来社の西谷能雄社長の温いご配慮と、編集部の松田政男氏のお骨折りに厚く/お礼を申し上げるとともに、本書をご推薦いただいた方々にもお例を申し上げます。

との謝辞の1段も省略されている。これについても、「凡例」4項め、

一、「まえがき」は底本とした『双書 日本の民話』より再録したが、部分的には書きあ/  らためたものもある。

に該当している。(以下続稿)