瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

出張旅行の思ひ出(2)

 本題に入らないまま長くなってしまった、昨日の続き。

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 それはともかく、Twitter も、信ずるに足る見識を示している人の Tweet ならば Follow しても良いのかも知れないが、それも大変なので誰も Follow していない。しかし、理系の研究者3人とフリーター1人の Tweet は、Follow せずに一々検索して、折々眺めている。
 そこで一昨日、国立極地研究所の美人助教が懲戒解雇されたと云うニュースが Retweet されているのを見た。多分会ったことのない人で、出演したTV番組も著書も見たことがなく、全然知らない人なのだけれども、全く接点がない訳でもないので、何となくニュース記事をクリックして見るに、助教に採用されてからの5年余の間に、旅費や学会参加費などについて領収書偽造やカラ出張で計43件、約132万円を不正請求したと云うのである。2月に領収書を確認した事務職員によって発覚し、12月25日付で処分されたと云うのだが、これも Twitter を検索するに、12月4日に Webサイトがリンク切れになっていることに気付いて「何が起こった」と Tweet している人がいた。

すてきな地球の果て (一般書)

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北極と南極—生まれたての地球に息づく生命たち

北極と南極—生まれたての地球に息づく生命たち

 当人は「必要な際にすぐに使えるお金を確保しておきたかった」と説明しているとのこと。しかし、割ると月2万円くらいにしかならない。私は国立の研究機関の助教の給与が幾らなのか知らないが、それが安くても、旅費や学会参加費とは別に研究費も獲得しているはずだと思うのだが、一体どうなっているのだろう。詳しくはどのくらいの給与・研究費を得ていて、どのように使っていたのか、その詳細を調べるしかない。興味はあるのだけれども、元より私にそんな暇はないので、誰か追及する人が現れるのを待つしかない。
 私が思い浮かべるのは、予算制度の弊害である。かつて、年度末になるとどうでも良い道路工事が目に付いたように(今もそうなのか、花粉症になって以来、年度末には不要の外出をしなくなってしまったので良く分からない)、20年前、院生だった私でも某所で年度末に「予算が余っているのでもし××君の欲しい本があれば複写するけど*1」と誘われたり、別の、出入りしていた訳でもない研究機関から知人を介して、余った予算を消化するために△△に出張して欲しい、と急に言われ、その10日程後に、先に旅費10万円振り込まれて1週間ほど地方に出掛けたこともあった。現地ではそれなりに真面目に図書館に通い詰めて、読みづらい藩士の日記に目を通し、まだ壮年なのに日記が終わっているので現地の人名事典を検索するに、日記が途絶えた頃に死んでしまったことを知って暗澹とした気分になったりしたものだが、元より事前の準備を殆どしないまま出掛けたので、十分な調査復命が出来たものか、覚束ない。しかし、それでもとにかく、ほぼ部外者である私を臨時雇用してでも、使い切らないといけなかったのである。
 極地研究所のケースは逆で、使わなくても良かった金を使った、と云う意味ではむしろ私が当たったケースの方が不正のような気がするのだが、しかしこのようなことが慣行として行われていたのである。――その月2万円をどのように使ったのかが分からないと何とも言い様がないのだけれども、融通の利かない予算制度がこのようなことを彼女になさしめたのではないか、と、私なぞはどうしても思ってしまうのである。
 まぁ、人は自分の関心事に引き付けて物を考えたがる。善し悪しはともかく、私の場合、ここを切っ掛けとして始めることになる、と云うことなのである。――もちろん別にこの切っ掛け以上に極地研究所の話を進めるつもりはないのだけれども。(以下続稿)

*1:普通の活字本の複写ではなくて、古典籍のマイクロフィルムからの複写なので当時としては(もう覚えていないが)それなりの額になったと思う。