瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

在阪ラジオ局の思ひ出(3)

・スポットCM(1)
 関西にいると、いや、兵庫県だったからかも知れぬが、阪神ファシズムと云うべき状況に直面させられる。
 私の部活にも熱狂的阪神ファンがいて、当時は私の経験していない(せずに済んだ)昭和60年(1985)の日本一からまだ1年半にしかならぬので、それはそれは喧しかったのである。角材で素振りしながら「六甲おろし」を歌ったり、余りに五月蠅いので「静かにせぇ」と言うと「堪えろ!」と返される。そして巨人選手の個人応援歌を「ひぃだりのかたにもみ~ずぅこ、みぃぎのかたにもみ~ずぅこ、・・・・」だとか、「糞まてぃいーのーあッほーあッほー、糞まてぃいーのーあッほーあッほー、糞まてぃいーのーあッほー、ただのあッほー、糞まてぃー、帰れ帰れくーそまてぃー」だとか、「とーぉかーいーだいーがく、裏口にゅうーがくー、おーやじがいなーけりゃ、なんにーもーでッきーないー、帰れ帰れたーつのりー」などと下品な替え歌にして大声で歌っていた。あるとき、周辺の高校と合同で1泊の山行*1をしたことがあって、そのときも阪神ファンどもが暴れていたのだが、中に1人、巨人ファンがいて、巨人の選手を侮辱する替え歌に堪え切れず、途中から割って入って正しい歌詞の原辰徳の応援歌を歌い出したのには、阪神ファンの歯牙にも掛からないヤクルトの消極的ファンである私も、ほとほと感心させられたものだった。
 そして、――強くもない癖に(!)五月蠅く理不尽な暴れ方をする阪神ファンたちの、阪神ファシズムとも云うべき横暴さに疑問を持った一定数の人間が、大阪でも熱狂的な巨人ファンになっているらしいことに気付かされたのであった。
 なんせ、私が受けた試験ではないのだけれども、3年のときだったか、同じ学年の、私が受けていたのとは別の教員が作った会話劇形式の試験問題が、掛布君や岡田君、真弓君、バース君が優等生できちんと正しく答えるのに対し、原君や黒町君がボケまくり間違えまくりと云う設定になっていて、後で私も見せてもらって、面白いことは面白かったのだが、・・・・まぁ、そんな土地柄なのである。
 しかし、母は球場では熱狂的阪神ファンと接しているが、球場以外でも横暴な、熱狂的阪神ファンに接する機会がないので、私のような悪い印象を持たずに済んだのである。私は所詮余所者だし「堪えろ!」と言ってる連中と同じになりたくない、と、どうしても思ってしまう。しかし、母がファンになってしまったのだし、道上洋三は気持ち良さそうに「六甲おろし」を歌うし、阪神タイガースは、嫌いにはならなかった。しかし、阪神ファンは、どうも好きになれなかったのである。
 それはともかく、高校3年間、朝夕に母が聞いているのを受動喫煙と同じ按配で聞かされていたラジオ放送の、内容は全くと云って良いくらいに覚えていない。覚えているのは、本当に繰り返し聞かされたスポットCMである。以下、思い付くものを幾つか挙げて見よう。
・きんきちゅーこしゃ
 ちょっと色っぽい声の女性が「あなた、元気? わたし、きんき」と言うのに続いて、サウンドロゴ「きんきちゅーこしゃ」。
 YouTube で検索すると1件、テレビCMがヒットするが、私はテレビCMは記憶していない。YouTube にあるものは、外国人女性が出演して、日本人の若い女性の声で普通に「あなた、元気? わたし、きんき」と言っているが、私がかつてラジオで聞いたものはもっとお色気満載(!)だった。最後のサウンドロゴは同じ。「キンキ中古車」と表記することを初めて知った(笑)。
 「まいどおおきに!べかこランド」だったかで、桂べかこ(現、南光)が「キンキは英語ではおかしな人みたいな意味なので、外人にキンキと言うたらあかん。そやからキンキ中古車もそういう風に取られてしまうかも知れないんでございますよ」みたいな話をしていたのを覚えている。
・はなてんちゅーこしゃせん たー
 サウンドロゴ「はなてんちゅーこしゃせん たー」。
 本当にこのサウンドロゴしか覚えていないが、しょっちゅう聞いていた。
 これも YouTube で検索すると「ハナテン中古車センター」のテレビCMが幾つかヒットするが、見た覚えがない。WIkipedia に拠ると「毎回半裸の女性を映像に起用したことで知られるようになった」とのことだが、高校時代、深夜放送など見なかったから見る機会がなかった。
 キンキ中古車も放出中古車センターも、店舗に行く用事もなければ近所に支店もなかったので、CM以外の知識はない。
・ありまひょーえのこおよおかくえ
 サウンドロゴ「有馬兵衛の向陽閣へ」。
 キンキ中古車もハナテン中古車センターも現在、そのままでは残っていないらしいが、有馬兵衛の向陽閣は健在で、HPに兵衛向陽閣CMライブラリーがあり、YouTube に公式に投稿されたテレビCMの数々を閲覧することが出来る。
www.hyoe.co.jp
 もちろんテレビCMの記憶は全くないので、私が覚えているのはサウンドロゴのみである。今回、初めて昭和37年(1962)録音、歌手は仲宗根美樹(1944.6.23生)であることを知った。公式のCMライブラリーにある「兵衛向陽閣の唄」は新作で(作曲者のキダ・タローも旧作を覚えていないようで、旧作とどの程度似ているのか不明で)ある

有馬温泉 兵衛向陽閣 TVCM 1980年以前 <関西ローカル>
 コメント欄には awahara ryota の「1968~69年頃制作でしょう。/ケーブルカーは1961年開業で当時の地方鉄道法適用路線でしたが80年3月廃止。」とのコメントに対し、坊主拳法(bouzkempou)が「ケーブルカーってなくなってるのか。/当時のコマーシャルでは「虹の架け橋ケーブルカーで〜♪」って仲宗根さんが歌ってた。/キダタローさん、探偵ナイトスクープで音源探してくれないかな、フルコーラスの。」とのコメントを追加しているが、仲宗根美樹のCMソングとケーブルカー開業と、時期がほぼ同じだから、間違いのない記憶なのであろう。
 有馬温泉には、お金持ちが年末年始を過ごしに行くとか、そんな話は聞いたことがあるが、私の家は金持ちではないのでそんな習慣はなく、そうすると泊まりに行く用事もないので殆ど縁がなかった。1度だけ、父と六甲山にハイキングに行った折、有馬温泉に下山して共同浴場に浸かって、持っていた手拭いを鉄錆色に染め上げてしまったことがあった。そんな訳で、有馬兵衛の向陽閣も名のみ知って他はやっぱり何にも知らないのであった。
・まっちゃまちのふくいたや
 サウンドロゴ「まっちゃまちのふくいたや、にんぎょと×××」木魚の音とともに。
 これもしょっちゅう聞いた。今回「松屋町の福板屋、人形と結納」と言っていたことを初めて知った。いや「にんぎょ」は人形だと思っていたけれども。
 さて、大阪に出掛ける用事が年に2度3度しかなく、それも梅田周辺で済んでしまったから、松屋町がどの辺りなのかも、分からなかった。今でも分からない。
 「松屋町の福板屋(株)」は存続しているようだが、店舗は平成28年(2016)6月12日に閉店して、現在はマンションになっている。(以下続稿)

*1:さんこう。山岳部で山に登りに行くこと。