・「投稿 風便り」(5)三丁目の夕日①
昨日の続き。
op.17 映画 「三丁目の夕日」 を観て 森川秀安さん(東京都) H18/1/20
「無厳さん推奨の」とあるから、例の「Nostalgia」に言及があるのかと思ったが、現在公開されている「Nostalgia」にはこの映画に関する記述は見当たらないようだ。
森川氏はこの映画を「先週の木曜日」すなわちに平成18年(2006)1月12日(木)に「新宿武蔵野館で観」ている。「昔のような無料のパンフレットはないので、分厚い七百円のパンフを買ってみると、写真や画入りの詳しい、記憶力の衰えた私には都合のよいものでした」とて、パンフレットにも拠りながら、幾つか「気になった」箇所を指摘している。
・山崎貴 監督『ALWAYS 三丁目の夕日』平成17年(2005)11月5日公開
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森川氏は「昭和33年建設の東京タワーを背景に展開される、豊かではないが夢に向かって日々を生きている人々の下町の暮らしぶりと人間模様を描いたという設定ですが、世評も好いようです」としながら「 細かいことを言えば、・・・・」として「親から雇い主宛の毎月の手紙を十ヵ月後?にまとめて娘に見せるシーン」を挙げる。「画面の家の造り、郵便配達夫などから」して「そんな長い期間、郵便が娘の目に触れずにいるのは」流石に「不自然に感じ」る、同様に細かい設定で不自然な点が「二、三ありました」とする。
次の指摘は重要だと思うので段落全部を抜いて置こう。
気になったのは、下町の道、それも商店もある表通りの道が土だったことです。私の子供時代の裏通りでもほとんどがアスファルト舗装でした。また、水はけを考慮して道はかまぼこ型にやや中高なのですが、画面は全くフラットでした。 それに塀のある家がやたら多かったですが、東京の下町には塀に囲われた家など滅多にありませんし、画面にあるような高い木が社寺の境内でもないところに生える空き地はないから、郊外の下町的に発展途上にある地域という感じです。 酔いつぶれた町医者に巡査が「この辺は狸が出る」と言っていたし、道端に丈高い雑草も生えていたから、そういう私の知らないたたずまいの新下町のようです。
それからもう1点、これも先の指摘に関連すると思われるので段落全部を抜いて置く。
荒物屋の冬の店頭に苦労して探してきた石炭ストーブを並べたと記されていますが、東京の下町にはガス管が張り巡らされているし、ガスを使用しない家庭では七輪に木炭か豆炭です。炭屋は沢山ありましたが、石炭など扱っていなかったと思いますし、コークスを扱っている店があったとしても、それは家庭用ではないです。
森川氏は「パンフに・・・・細かいところまでこだわって努力した様子が述べられていますが、多分若い人が多くて、古い画像や文献で調べるのが主で自分の経験や記憶がないのかもしれ」ない、とその理由を推測するのだが、まさにこの指摘にこそ、この映画の弱点があるのではないか。そんな気がするのである。
原作を読んでいない森川氏は、原作者が寄せた映画への讃辞にも、疑問を覚えているようである。
無厳さん愛読の「三丁目の夕日」も著者の西岸良平氏も私は全く知らないので、パンフにある西岸氏の「原作を大切にした素晴らしい映画」という言葉がどこまで本音なのか判りません。・・・・
この戦前の下町の生活を知っている森川氏と、団塊の世代の西岸良平(1947.7.30生)との下町観の違いも、やはり見逃せない問題であろうと思われるのである。(以下続稿)