・岩崎京子の赤マント(6)
同じような話を、岩崎氏は児童文学と昔話フォーラム(2011年3月6日、東京学芸大学にて)でも語っています。
・石井正己 編『児童文学と昔話』平成24年3月2日 初版発行・定価1700円・177頁
書影は4月8日付(228)に示しました。
13~73頁「第一部 児童文学と昔話フォーラム」の6つのプログラムの2番め、27~42頁、岩崎京子「講演 子どもたちへのプレゼント」です。
27頁3行め~29頁15行め「一 大川悦生先生の指導で世田谷を歩く」に、岩崎氏は、27頁11~12行め「叙情みたいな、子どものかわいさ、すごくかわいいという童心主義のそ/ういう話を童話にするということ」を、10~11行め「志向してきたけれども、ろ/くな話も書けなくて」いたところに、14行め~28頁1行め「子どもはかわいいだけじゃないっていう「少年文学宣言」」が出され「文学というのは登場人物の/行動だけを書く叙事がいいというのです。」そこで、2~4行め「叙事ってなんだろう、主人公の行動/だけど、民話もそうだなとちょっと思ったんですよね。いつ、誰が、どこで、何をしたっていう、それ/なら昔話の勉強すればいいんだなと思った。」と、自身と民話との関わりを説明します。そこへ、28頁5~16行め、
そのとき、ほんとにタイムリーと言ったらいいのか、私たちの町に民話作家の大川悦生*1先生が越して/いらっしゃったんです。そして、私たち、文庫もお世話で作ったし、昨日、実は親子読書地域文庫連絡/会というのが四〇周年なんです。そのお祝いがありましたが、その創立から五、六年経ってから、私た/ちの文庫を作ったので、その下ならしを大川先生がやっていてくださいました。
とにかく、大川先生は民話のことも教えてくださったのですよね。全国各地にいらっしゃって、採話/をなさるんです。たとえば、岡山県の津山とか、それから山形県、沖縄とか、私は足にくさびがついて/いる身分ですので、許可が出ないと出られないんですよね。しまいにはずうずうしく出歩いていました/けれども、はじめはういういしく、主人の言うとおりにしてました。遠出はできないけれど、近場を連/れて行ってもらいました。
私たちの住まいは世田谷区の西北、丑寅*2にあるので、その反対側の、今年の恵方*3の三軒茶屋とか、駒/沢とか、深沢とか、そっちの方にちょっと行ってみると、私たちの住む町と違う雰囲気なんです。それ/でもまだ田圃たっぷりなんでね、たとえば、深沢の豪農、‥‥
と云う流れで、この節の最後まで世田谷区内を連れて歩いたもらった回想が続きます。大川氏との関わりは4月9日付(229)に引いた「『かさこじぞう』の誕生」よりも詳しくなっており、岩崎氏が大川氏から民話について、それから家庭文庫「子どもの本の家」の開設について、指導を受けていることがより分かりやすくなっております。なお「西北」は「丑寅」ではなく「乾(戌亥)」です。岩崎氏がこう喋ったのだとしても編集が訂正するべきでしょう。
そして、29頁16行め~32頁4行め「二 『かさこじぞう』が生まれるまで」に、大川氏に執筆を勧められたことも、より詳しく語られるのです。29頁17行め~30頁6行め、
ちょうど大川さんがポプラ社で「むかしむかし絵本」っていう全二〇巻二〇話の監修をして、昔話/【29】の大家たちに書かせて、「あんたも書かない?」って言うんですよね。人生ぽっと出の私にですよ。も/う四〇過ぎているから、ぽっと出という形容はちょっとはずかしいんですけど、初心者、やっと民話に/引っ掛かっているという程度の私にね、「書かないか」とおっしゃった。「駄目です、駄目です、止めて/ください」ったら、「駄目か駄目じゃないか、書いてみなけりゃわからないでしょう。やって駄目な/ら、それで引っ込めればいいでしょ」って先生に怒られて、「じゃあ、お地蔵さんの話、書いていいで/すか」って、お地蔵さんと子どものむつみ合う、そういう話だったら書きたいなあなんて思って。
ポプラ社の「むかしむかし絵本」は昭和42年(1967)から昭和45年(1970)に掛けて刊行され、最終的に全30巻になっています。
・大川悦生(1930.7.6~1998.3.27)1,8,11,14,18,20,21,24,29
・松谷みよ子(1926.2.15~2015.2.28)2,6,12,16,22,28
・岩崎京子(1922.10.26生)3,9
・神沢利子(1924.1.29生)4,7
・今江祥智(1932.1.15~2015.3.20)5,10
・西郷竹彦(1920.3.15~2017.6.12)13,17,19,26
・吉沢和夫(1924生)15,23
・安藤美紀夫(1930.1.12~1990.3.17)25
・有吉佐和子(1931.1.20~1984.8.30)27
・加来宣幸(1931.1.3生)30
書影を示して置きましょう。
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- メディア: 単行本
- 作者:岩崎 京子
- メディア: 単行本
- 作者:神沢 利子
- メディア: 単行本
- 作者:いまえ よしとも
- 発売日: 1967/06/01
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- メディア: 単行本
- 作者:神沢 利子
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:岩崎 京子
- メディア: 単行本
- 作者:今江 祥智
- 発売日: 1968/07/30
- メディア: 単行本
- 作者:おおかわ えっせい
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- 発売日: 1967/10/01
- メディア: 単行本
- 作者:西郷 竹彦
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- 発売日: 1967/11/01
- メディア: 単行本
- 作者:吉沢 和夫
- 発売日: 1968/01/01
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- メディア: 単行本
- 作者:西郷 竹彦
- 発売日: 1968/01/01
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:西郷 竹彦
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
きんいろのきつね―「殺生石ものがたり」より (むかしむかし絵本 21)
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- メディア: 単行本
- 作者:吉沢 和夫
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:安藤 美紀夫
- 発売日: 1969/09/30
- メディア: 単行本
- 作者:西郷 竹彦
- メディア: 単行本
- 作者:有吉 佐和子
- 発売日: 1970/01/01
- メディア: 単行本
- 作者:松谷 みよ子
- メディア: 単行本
- 作者:大川 悦生
- メディア: 単行本
- 作者:加来 宣幸
- メディア: 単行本