瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

伊藤正一『黒部の山賊』(09)

・②新版の著者紹介と版元
 5月29日付(06)に、③④のカバー折返しにある著者紹介文について、③の奥付の前の頁にあるものとも対照させながら確認したのだが、うっかりしていて②の奥付上部にも「●著者紹介 伊藤正一(いとうしょういち)」として、これらの原型となるものが掲載されていたことを見落としていた。ここでは③のカバー裏表紙折返しにあるものと比較しながら、確認して置こう。1行めと同じ大きさで行間も同じで2行めから、

 大正12年(1923)長野県松本市生まれ。8/歳のとき木曽御岳へ登って以来、北アルプス/をくまなく歩いて現在にいたる。
 昭和21年、三俣蓮華小屋(現在の三俣山荘)/を譲りうけ「山賊」たちの協力を得て湯俣山/荘、黒部五郎小屋、雲ノ平山荘をつぎつぎと/建設し、昭和31年には北アルプスの最後の楽/園、雲ノ平への最短ルート、伊藤新道を独力/で完成した。
 現在、日本勤労者山岳連盟名誉会員として/大衆登山発展のため、熱意を注いでいる本山岳写真協会々員。山小屋の開設期間を除き年間在京している。
 住所・東京都新宿区四谷■―■―604

とある。
 表記の違い、読点の有無等、細かな異同は拾わなかった。大きな異同としては、昭和21年(1946)に譲り受けた小屋が③では三俣蓮華小屋及び「水晶小屋」となっていることで、逆に、続いて建設した中の「黒部五郎小屋」が③には見えない。このように、③では削除・改変されている箇所を灰色太字で示した。③には「伊藤新道」が現在使用されていない旨の註記がある。
 平成初年当時、奥付に著者の住所を示さなくなって来ていたと思うのだが、②は「三俣山荘事務所」HPには「新版 黒部の山賊(私家版)」とあるように、私家版すなわち自費出版なので住所を入れたのであろう。なお、①は「実業之日本社」が版元であったが、これが②では「発売所」となっていて、②の「発行所」は「ブルーガイドセンター」である。ブルーガイドセンターはその名称から察せられるように実業之日本社ブルーガイド編集部)の関連会社らしく、活動期間は国立国会図書館サーチで検索するに昭和60年(1985)から平成10年(1998)まで、実業之日本社の「ブルーガイドパック・ワールド」や「ブルーガイド・ムック」「ブルーガイド情報版 別冊」の、何冊かの編集を引き受け、さらに版元にもなっている。(以下続稿)