瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

閉じ込められた女子学生(21)

 2017年2月6日付(04)の続き。
 6月13日付「阿知波五郎「墓」(15)」に書いたように、その後、女子美術大学の実話について、これも多摩美術大学では都市伝説化している校舎屋上の焼身自殺と絡めて確認して行きましたので、なかなか当初予定に戻って来る(?)ことが出来ませんでした。
 そして、私が筋が引けないかと考えた、この話が阿知波五郎「墓」に由来すると云う想像ですが、多分無理です。昭和26年(1951)12月刊行の初出誌に由来する可能性は皆無とは言えませんが、平成4年(1992)刊『こんな探偵小説が読みたい』に由来すると云う想定は時期的に無理なのです。何となれば、昭和61年(1986)にこの話が既に短大のレポートとして報告されている(らしい)からです。市販の書籍に載ったのは平成8年(1996)以降なのですけれども。
 初出は2016年12月20日付「『夢で田中にふりむくな』(2)」に苦情を述べた、「不思議な世界を考える会会報」なのですが、どうも、おかしいところがあって、少々細かく確認する必要があるのです。尤も、私が細かく確認して疑問点を提示した書籍や作品について、感謝の言葉(!)や回答を寄せてくれた人は、これまでほぼ皆無に近いのですけれども。――まぁ、嫌がられてもやりましょう。
・「不思議な世界を考える会会報」(1)
 この「不思議な世界を考える会会報」は、現在もやはり何処にも閲覧可能な場所がないままのようです。それでいて研究者が絡んでいて、児童書など複数の本に同じ話を使い回しているのですから、ちょっと、問題なしとしないように思われます。
 かつ、この「閉じ込められた女子学生」の例として使い回されている話については、これまた色々と問題があって、どうも、原本を見られない身としては(微妙な問題ではあるのですが)扱いに困るのです。これだけ諸方で素材として喧伝している以上、もうそろそろ会員の方々も高齢になっている(であろう)ことですし、コロナウィルスがどうなるかも分からない状況下でもありますから、公開について検討する時期に来ているのではないか、と、余所ながら意見申し上げたい気分です。これまでこういうことを書いても、気付かれていないのか何の反応もないのですが、宜しければ誰か取り次いで、検討をお願い出来ないものかと考えております。
①「不思議な世界を考える会会報」20(1990)
②『夢で田中にふりむくな』(1996)
③ 日本の現代伝説『走るお婆さん』(1996)
いまに語りつぐ 日本民話集 伝説・現代民話⑪学校の怪談』(2003)

 まだ他の本にも使い回されているかも知れませんが、差し当たりこの4つ、もちろん「不思議な世界を考える会会報」は未見ですが、②③④はいづれもこの号を出典としていますので、①として敢えて挙げて置きました。
 では、次回から②③④の本文及び典拠について、検討を加えて行くこととします。(以下続稿)