瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

閉じ込められた女子学生(24)

・「不思議な世界を考える会会報」(4)
 話の題は②③④とも「壁の爪あと」です。①も「壁の爪あと」と題していたのでしょうか。
 2017年2月6日付(04)に紹介した松山ひろし『三本足のリカちゃん』も「爪の跡」と題して取り上げていましたが、これも、この事故が実際にあったものだとする証拠となっている、壁に残された痕跡に注目してのものです。
 2016年10月1日付(01)に引いた日本大学芸術学部写真学科の話も「ドア」に「ひっかいたり、たたいたりした傷あと」が「今もある」ことになっていました。ドアや壁に引っ掻き傷がある、もしくは血塗れだったなどと云う要素は、2016年9月30日付「関西テレビ『学校の怪談』(1)」に取り上げた「アサギの呪い」にも使用されていましたし、ネット掲示板の書き込みにも、ネット掲示板はその性質から詳細に及ばないことが多く、この要素に言及しないものも多いのですが、2018年11月2日付(18)女子美術大学の暗室、2018年11月3日付(19)東京造形大学及び武蔵野美術大学の暗室について、こうした要素を含んでいることが報告されていました。
 壁の痕跡に注目しない類話も存しますが少数派のようです。しかし、この題は、この類の話の総称としては適切ではないように思いました。
 そこで私は「閉じ込められた女子学生」を総称として提案しておるのです。
 朝里樹『日本現代怪異事典』では、2018年8月22日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(39)」に見たように「地下体育館の幽霊」としていますが、朝里氏も認めているように暗室が舞台となっている話も多いので(と云うかその方が多い?)、この題では多くの類話が零れ落ちてしまいます。かつ、松山氏が指摘するように、幽霊の出現を伴わない話も少なくありません。それから朝里氏は「小学校から大学まで」としているのですが、私の見ている例は(多くないのかも知れませんが)殆どが高校か大学です。そして閉じ込められるのは女子学生なのです。
 実際、2017年2月6日付(04)に細かく考えて見たように*1、この話は、少し前の大学でないと成り立たないように思います。電車通学などで行動範囲が広くなる高校生なら、まだ起こり得るかも知れませんが、徒歩通学の小学生・中学生がこのような目に遭うと云うのは相当無理があります。小中学生の行動半径の狭さから、虱潰しに捜して行けば見付からない訳がない*2。起こり得るとすれば、まだ携帯電話が普及する前の大学生に限られるのではないでしょうか。連絡が付かなくて当たり前、いなくなっても実家に帰省したのだろうと思われ、実家の方でもまだ大学のある町にいるのだろうくらいに考えて。――しかし、SNSの発達した今では無理でしょう。肌身離さず持ち歩いている携帯電話で直ちに救出を求めることが出来ましょうし、携帯電話を持たずに閉じ込められた場合、返信などの反応がないところから怪しまれて、すぐに家族や友人たちから学校や警察に届け出がありそうです*3
 しかし「閉じ込められた女子学生」では、所謂「ネタばれ」ではないか、と云われそうです。しかし私は勿体を付けても仕方がないと思うので、ほぼ全ての類話に共通する要素を題にした方が良かろう、と思うのです。もちろん①②③④は「壁の爪あと」と題すべき話なのですが、総称にするには躊躇を覚えるのです。(以下続稿)

*1:2016年9月29日付「「ヒカルさん」の絵(08)」にも簡略ながら、同様の指摘はしていた。

*2:今でも神隠しのような事件がありますが、大抵犯罪や事故に巻き込まれて何処かに連れ去られたり隠されたり、本人が妙な気を起こして何処か遠出をしたので、普通に校内に閉じ込められていたのが見付からないとは思えません。

*3:9月21日追記】私は(疲れるので)見ていないが現在放映中のTVドラマ「半沢直樹」に出演していた女優・階戸瑠李(1988.10.30~2020.8.28)が急死した際に、階戸氏の TwitterInstagram に2日ばかり書き込みが途絶えたことで、死去が発表される前から一部ファンが心配するコメントを寄せていた。現在であれば余程のことがない限り、直ちにその線から異変が察知されてしまう。