瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

いまに語りつぐ『日本民話集』伝説・現代民話(13)

 鼻中隔彎曲症の手術を、近いうちに受けたいと思っていろいろ調べて(と云うか家人が調べて)見たのだけれども、なかなかハードルが高い。時期が余程悪くなければ1週間くらい、いつだって休んだって構わないのだが、目下、政府・与党が旗を振り、そして少なからぬ国民も呑気に乗っかっている、感染拡大下の Go To キャンペーンである。私には正気の沙汰とは思えない。緊急事態宣言下に息苦しさなどの症状が出て、以前からそうだったのだが今は特に頭が熱を帯びて*1靄が懸かったような按配になって困っているのだけれども、この分では直に医療が逼迫して、すぐにはやってもらえないかも知れない。いや、そもそもが数ヶ月待ち、評判の良いところだと1年とか待たされるらしい。今や数えで「人間五十年」――若い頃のような踏ん張りが全く利かぬから、改善出来るなら少しでも早く何とかしたいのだけれども。
 こんなに天気が悪いのは、都民に出歩くなとの天の声かと、無神論者なのに思いたくなってしまうくらい、人間がおかしくなっている。東京オリンピックもまだ諦めていないらしい。現都知事が選挙戦の最中、日本版CDCを作るとか言い出して、案の定、当選してから何もしない。そんなもん出来るんかい、との疑問の声は早速上がっていたようだが、例によって与党のベテランが批判したと云う報道がなされたのは当選後である。東京オリンピックをやりたいマスコミなぞこんなものである。いや、他の候補は飽くまでも「候補」なんだから、少々実現困難なことを語っても良いだろう。しかし、お前は現に都知事だったんだから、本気で日本版CDCを作りたいんなら、この半年の間に何とでもなっただろう。それを何もしないでいて、選挙のときだけこんなことを言う。そして今やこの体たらくである。都民ファーストなど所詮こんなものだ。かなり無理なことを盛り込み過ぎて自らの首を絞めることになったマニフェスト民主党の方が、余程マシである。それで、支持した人だけが割を食うならともかく、巻き添えで割を食わされるのは真っ平御免被りたい。しかし、そう願ったところでどうにもならぬから、都知事の宣うように「自衛」するしかない訳だ。本当に、東京に招き入れてしまった小泉純一郎小林興起には今からでも責任を取ってもらいたい。1度も支持したことがないのに。
 しかし、今にして6月27日付「祖母の思ひ出(03)」に述べて置いた見通しの確かさに、我ながら恐れ入る(笑)。当たって欲しくなかったが、しかし今の政府に役人連中を掛け合わせれば、こうなるのが自明であった。しかし、今となっては、いや、今だからこそ、心地よく騙されていたい人が多いらしい。已んぬる哉。
・「現代民話」の出典⑥~『夢で田中にふりむくな』
 ⑩剣持弘子・⑪岩倉千春・⑫渡辺節子・⑮高津美保子は使用していない。
『夢で田中にふりむくな』渡辺節子・岩倉千春 ジャパンタイムズ 一九九六
⑬三・⑬五・⑬六・⑬七・⑬十・⑬十五・⑬十七・⑬十八・⑬二十九・⑬七十一・⑭十八・⑭二十・⑭二十三・⑭三十九・⑭七十七
 ⑬大島広志が10話、⑭常光徹が5話、採っている。
 ⑬には、7月17日付(05)に注意したように、各話の末尾に附された話者・報告者に関する情報を欠くものが多いが、この10話は全てこれを欠いている。
 ⑭はこれとは少々異なり、巻末の「話名および出典」に、初めの3話には書名(及び、1話めには編著者・版元・刊年)だけでなく、括弧でさらに注記を加えている。すなわち、⑭十八「夢で田中にふりむくな」には「(本話は、「不思議な世界を考える会会報」43/樋口淳「ヤングの知っているこわい話」 一九九六をもとにしてい/る。報告者は男子大学生)本書は資料に手を加えて読みやすく/してある。」とあり、⑭二十「どこかでお会いしましたね」には「(同前・本話は渡辺節子が聞いた話)」そして⑭二十三「お願いします」には「(同前・本話は、「不思議な世界を考/える会会報」41 安東寛「私たちの百物語」 一九九六をもとにして/いる)」とある。⑭三十九・⑭七十七にはこのような注記はなくただ(同前)とするのみ。
 『夢で田中にふりむくな』は、2017年2月12日付「『夢で田中にふりむくな』(3)」に引いた岩倉千春「あとがき」に述べてあったように、元の報告を書き換えている。その実態については7月7日付「閉じ込められた女子学生(25)」の前後に検討した。
 すなわち、児童読物ほどの書き換えではないが『夢で田中にふりむくな』は再話作品と云うべきもので、だからこそ編著者の⑫渡辺氏と⑪岩倉氏は本シリーズに『夢で田中にふりむくな』を使用しなかったのである。ところが、⑬大島氏は『夢で田中にふりむくな』のこうした資料としての問題点を全く断らずに、⑭常光氏は一応断っているが、使用している。しかしながら、本シリーズが7月5日付「閉じ込められた女子学生(23)」に引いたように、学術的な使用にも耐えうるように、典拠の本文に手を入れない方針を採っていることを考えたとき、常光氏も大島氏も、書き換えたことを断っている『夢で田中にふりむくな』の本文を使用することは避け、渡辺氏・岩倉氏と同様、原資料に遡って引用するべきだったろう、と思うのである。
 この点についてはもう1度、詳しく検討するつもりだけれども、ややちぐはぐな印象を覚えざるを得ないのである。(以下続稿)

*1:しかし、発熱はしていない。頭部、鼻から上だけが熱いように感じられるのである。