本当は2019年7月20日付(3)の続きで、北杜夫の著書の記述を確認して置くつもりだったのだけれども、2019年8月20日付「北杜夫『どくとるマンボウ医局記』(1)」及び2019年8月21日付「北杜夫『どくとるマンボウ医局記』(2)」に諸本の確認をしているうち、途中でそのままになってしまった。
この6月に貸出しを再開した図書館で『三田村鳶魚日記』を久し振りに借りて、ふとこの件を思い出して、何となくこの題の記事を twitter に投稿して見て、少々気にしているうちに、急に中学時代の、しょうもない記憶が甦って来たのである。
・ペコポコクイズ
その記憶と云うのは、――私は数学が苦手で、勉強した内容は殆ど覚えていないのだが、数学の教師のことは何となく覚えている。中でも中学2年生のときの「ムギ」と渾名されていた、30前だったと思われる男性教師は、話が面白くて人気があった*1。
教え方が上手かったのかどうか、残念ながら私では全く証明出来ない。覚えているのは、数学とは全く関係のない小ネタである。
例えば、生徒をいきなり指差して、「君はアルファー」と決め付ける。と、別の生徒を指差して「君はノンアルファー」。振り向き様に指差した生徒には「君はアルファー」。――どういう基準で判断されているのか分からないが、一瞬にしてアルファー・ノンアルファーに選り分けられてしまう。教室は戸惑いと緊張、そしてそこはかとない可笑しさに満たされる。その緊張が高まったところで、アルファーとノンアルファーの見分け方を教えてくれたのである。‥‥いきなり指差されたとき吃驚して、或いは照れ隠しで思わず歯を見せて笑ってしまった生徒が「ある歯ー」、そして指差されたときに身構えて表情を崩さなかった生徒が「ノンある歯ー」。そこでどっと教室中が笑いで満たされる。
それから、タラちゃんの歌とか云って、「太陽に吠えろ!のテーマ」を「タラちゃ~ん、タラちゃ~ん、……」とタラちゃん連呼で歌い切って、その間、教室中爆笑だったこともある。
まぁ、どれも何処かから拾って来たネタを使っただけなのだろうけれども、ネットもなく流行り物に疎い昭和末の無知な生徒には、十分通用したのである。
それから、ペコちゃんポコちゃんのクイズでも盛り上がった。これも、当時は誰も知らなくって、少し助平なクイズで大盛り上がりしたものだ。
ペコちゃんくらいは私も知っていたが、不二家の菓子を滅多に食べたことのなかった私は、男の子の方をポコちゃんと云うのは知らなかった。 それはともかく、クイズの答えは、もちろん「見る気ぃ?」である。ペコちゃんがシャワーを浴びていたのを、ポコちゃんがお風呂のドアを少し開けて覗いた。そのことに気付いたペコちゃんは、ポコちゃんに何と言ったでしょう?
ペコちゃんとポコちゃんがデパートの最上階で、それぞれ別のエレベーターに乗った。その直後、どちらかのエレベーターのワイヤーが切れて落ちて乗っていた人はみんな死んでしまいました。どちらのエレベーターが、助かったでしょう?
正解は「ぺコちゃんのエレベーター」。理由は「ペコちゃんは女の子だから」。その心は「女の子は落ちっこないから――落ちンこないから」と云う、下ネタなのであった。
もう1つくらいあって、さっきまで覚えていた(ような気がする)のだが今はもう思い出せない。思い出したら書いて置こう。
もちろん「ムギ」の思い付きではないだろうから、ラジオや雑誌などに出ていたのだろうと思うのだけれども、今は乏しい記憶を、エレベーターの墜落に因んでメモして置くこととする。(以下続稿)
【8月19日追記】「この6月に」から段落分け、「そこのこ」を「そのこと」に修正し、Twitter のリンクを貼った。
*1:【8月31日追記】この人のことは2016年6月9日付「横溝正史『金田一耕助の冒険』(1)」の最後に、少し触れたことがあった。