瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中学時代のノート(18)

・昭和56年頃に聞いた怪談ノート(15)後篇⑤ 怪談(その九)木の下

 1行空けて20頁13行め~22頁6行め、

 ある学校の修学旅行で、肝だめしをすることになった。そのコ/ースとは、
「かいだんをずっとのぼっていくと、小屋がたってんねん。そこま/で行って帰ってくるんやけど、ズルすると困るから、机がおい/てあって、それにスタンプが上にあって、それを手(のひら)におし/て帰ってくる」というもので、
「小屋には窓があって、そこから幽霊がのぞいてる」【20】
というのであった。
 それでいっせいに出ることになったが、みんなこわいので、/机のところまでくると、顔を上げずにスタンプをおして、タッ/タッタッタァって、帰ってきたんやけど、その中に一人、ものず/きな女の子がいて、一番最後に来て、顔をあげてみると、――。
 まどがあって、中から、ほおのくぼんだ女の子が、こちらを見/ている。(それで木の下を指さした。と言ったと思うが、ここらへんはよくおぼえていない)それで女の子は下りて来ると熱を出し/て寝込んでしまった。(又は帰ってきて、そのことを先生に言ったが相手にされなかったので、とも)それで先生に、そのことを話した/が、ほんとはまどはなくて、みんなをこわがらすためにそう言っ/たのだ。というので(とうとうその子は寝津*1を出して、寝込ん/でしまった)ある。二、三日寝てて、起きて、そのことを宿の/主人に話すと、
「まさか――。」と言って、五年前にあったことを話してくれ/た。
「五年前に、女の子がゆうかいされて、まだみつかってない、」/と言うのだ。それで、
「ひょっとしたら――。」と言って、その子のさしずで、その幽/【21】霊が指さしたところをほると果して、死骸がでてきた。
「不思議なことにその女の子の氏子も木下、殺された女の子/の苗字も木下やった」。
 
 もっと長い話であったのに、かなり忘れてしまった。続けて、次/の話をした。


 実はこの話、後に「かなり忘れてしまった」部分を思い出して、かなり趣の違う話に変わっている。
 だから詳しいことは、その色々思い出して書き換えた本文を提示する際に書くこととしよう。
 校訂案。妙な当字や括弧の位置などを修正した。

 ある学校の修学旅行で、肝試しをすることになった。そのコースとは、
「階段をずっと上って行くと、小屋が建ってんねん。そこまで行って帰って来るんやけど、ズルすると困るから、机が置いてあって、それにスタンプが上にあって、それを手(のひら)に捺して帰って来る」というもので、
「小屋には窓があって、そこから幽霊が覗いてる」
というのであった。
 それで一斉に出ることになったが、みんなこわいので、机のところまで来ると、顔を上げずにスタンプを捺して、タッタッタッタァって、帰って来たんやけど、その中に一人、物好きな女の子がいて、一番最後に来て、顔を上げて見ると、――。
 窓があって、中から、頰の窪んだ女の子が、こちらを見ている。(それで木の下を指さした。と言ったと思うが、ここらへんはよく覚えていない)それで女の子は下りて来ると熱を出して寝込んでしまった。(又は帰って来て、そのことを先生に言ったが相手にされなかったので、とも)それで先生に、そのことを話したが、ほんとは窓はなくて、みんなをこわがらすためにそう言ったのだ。というのである(とうとうその子は熱を出して、寝込んでしまった)。二、三日寝てて、起きて、そのことを宿の主人に話すと、
「まさか――。」と言って、五年前にあったことを話してくれた。
「五年前に、女の子が誘拐されて、まだ見付かってない」と言うのだ。それで、
「ひょっとしたら――。」と言って、その子の指図で、その幽霊が指さしたところを掘ると果して、死骸が出てきた。
「不思議なことにその女の子の苗字も木下、殺された女の子の苗字も木下やった」。
 
 もっと長い話であったのに、かなり忘れてしまった。続けて、次の話をした。


 この話、実は私の知らぬ間にある本に流用されていたのだが、その詳細もまたの機会に述べることとしよう。(以下続稿)
10月1日追記】原本の当記事に関連する写真を貼付した。

f:id:samatsutei:20201001184656j:plain
21頁

*1:振仮名「ネツ」。