9月25日に(272)として準備していたのですが、一部確認のために後回しにしているうちに1ヶ月以上経ってしまいました。
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大宅壮一「「赤マント」社會學」について、当ブログで度々言及し、当ブログ告知専用 Twitter アカウント「瑣末亭」でも一昨日(9月23日)その一端を次のように Tweet しました。
中村希明の赤マント(15)https://t.co/BDIxvU67bM
— 瑣末亭 (@SaMaTsuTeI) 2020年9月23日
大宅壮一「「赤マント」社會學」(「中央公論」昭和14年4月号)
・1985 『大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録』記載
・1986 鷹橋信夫『昭和世相流行語辞典』要旨
・1988 小沢信男 編『犯罪百話 昭和篇』収録
・1994 『怪談の心理学』刊行、参照せず。
すなわち、昭和60年(1985)に『大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録』に掲載されたことで、昭和61年(1986)に鷹橋信夫が要旨を紹介し、さらに小沢信男が昭和63年(1988)にちくま文庫『犯罪百話 昭和篇』に全文を収録する、と云う風に、昭和末年には大宅氏の論考が再び人目に触れ、赤マント流言について再検討の機運が生じつつあったのですが、折角、この埋もれていた評論が発掘されたのに、この流れは継承されなかったのです。――その数年後、平成初年に赤マントについて、より注目されそうなメディアで論じた中村希明と朝倉喬司の2人が、大宅氏の評論を見落としてしまったことで、赤マント流言の時期は曖昧にされ、いえ、朝倉喬司による間違った時期設定が幅を利かせるようになり、当ブログに於ける実態解明まで、更に多くの時間が必要とされる*1こととなってしまったのです。
民俗学者で大宅氏の評論を活用した人は、私がこれまで気付いている限りでは3人だけです。うち、本格的な論文で取り上げているのは1人だけなのですが、この人の論文と云うのが、如何にも、私が2013年2月13日付「謬説の指摘(4)」や2015年9月10日付「山本禾太郎『小笛事件』(3)」で問題にした、両立しないA説とB説を同じように利用してしまう(折衷案のC説までは出していなかったと思いますが)、文系研究者にありがちな少々奇妙な代物で、折角大宅氏が赤マント流言の期間を限定して明示していたのを、他の、より新しい論者の誤った時期設定に釣られてか、何ともせずにスルーしています。私にはこれが何とも気持ち悪く、どうして突き詰めないのかと不審に思われてならないのです。――遠からず当ブログに取り上げて、批判的検討を加えることとしましょう。
中村希明が描いた赤マントについては今月の上旬まで検証して来ましたが、次に現在、中村氏以上に影響力を保持している朝倉氏の説を検証しないといけません。しかしこれは中村氏説の検討以上に体力を使いそうなので、もう少し体調が回復してからのこととしたいのです。
それはともかく、今回は「公益財団法人大宅壮一文庫」HPの、賛助会員獲得のための索引活用例紹介記事「索引紹介」に、最近この評論が取り上げられましたので、触れて置こうと思った次第です。
HPの索引紹介コーナーを更新しました。
— 大宅壮一文庫(時短営業中) (@OyaBunko) 2020年7月18日
今回は件名キーワード【デマ・流言飛語】より、「インフォデミック」から古くは「赤マント」まで30件の記事を紹介します。
紹介した資料は全て当館で閲覧・コピーが可能です。ご希望の記事がありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。https://t.co/otmVGYFQOn
すなわち、「デマ・流言飛語(2020年7月17日)」にて、新型コロナウィルス関連の流言から説き起こして、口裂け女などにも触れた上で、
大宅壮一は『中央公論』1939年4月号「“赤マント”社会学」の中で、「恐怖の壓力を最も強く感じるものにとっては、恐怖はまた最大の魅力ともなる」と言っていますが、現代でもやはり多くの人が不安を抱えた時に「デマ」は広まるようです。「うわさへの批判力を高め、情報の正誤を見極めることが必要」、と口で言うのは簡単ですが‥‥
と言及しているのですが、赤マント流言そのものについては何ともしておりません。
最後に、関連する雑誌記事30本(本文で言及しているのは「「赤マント」社会学」のみ)を年代の新しい順に列挙しますが、29番めに、
No29
記事種類
タイトル 「赤マント」社会学 活字ジャーナリズムへの抗議 赤マントの男徘徊の流言約1月全帝都を風靡執筆者 大宅壮一
雑誌名 中央公論
発行日 1939年04月
ページ 422-427
備 考 ‖16-024-005[世相風俗いろいろ]デマ‖
と見えており、これは2016年9月15日付(153)に引いた書籍版索引の記載内容とほぼ一致しております。
【追記】note「雑誌の図書館 大宅壮一文庫 (β)」に、8月4日に「デマ・流言飛語に関する雑誌記事索引データ」と題して転載されている。(9月25日*2。以下続稿)