瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(08)

銀河テレビ小説たけしくんハイ!」シナリオとの異同(1)
 オープニングクレジットの「出演」を一覧にした余勢を駆って、出演者について一通り確認して置こうと思ったのだが、そのためにはやはり見直しが必要で、しかし録画し損ねたのでNHKプラスの見逃し配信で、しかしもう第1回から第3回は視聴出来なくなってしまった。
 手許に、2018年7月9日付(01)に述べたように布勢博一ビートたけし 原案)『シナリオ・たけしくん、ハイがあるのだけれども、これは完成したTVドラマから書き起こしたものではないので、かなりの異同がある。シーンの後半が削除されていたり、シーン全体がなくなっていたり、順序が入れ替わっていたり、と云った大きな異同も毎度のことで、台詞や動作など細かい異同はそれこそ無数にある。全く台本通りに発せられた台詞の方が少ないんじゃないかと思われるくらいである。
 1週間と云う視聴期限では『シナリオ』と付き合わせながら一通り見直す余裕しかない。以下、第1回から一通り、大きな異同と、私の気になった小さな異同について見て置くこととしよう。
・第1回
 冒頭、向いの「建築一般請負 松原組」の棟梁松原源治(金田龍之介)の女房定子(今井和子)が、西野家への電話を取り次いで、見習に真利子(木の実ナナ)を呼びに行かせるシーン、昔は家に電話がなくて、学級名簿などに近所の電話のある家の番号を書いて「松原方呼出」などとしていたものだった。いや、昭和50年代、私の小学生時代に電話連絡でそのようにしている家が同級生の中にあったと云う記憶はない。私がそのような状態があったことを察したのは、私の高校の、昭和30年代末の名簿を見て、確か電話番号の後に「商店名(呼)」などと添えてあったのを見たのが最初である。私が物心付いた時分には、家に固定電話があるのが普通だった。電話帳を見れば級友の親の名前が分かったのである。
 それはともかく、続いて、仕事の催促の電話の応対をして戻って来た真利子が、昼から酒を飲んでいる夫・竹次郎(林隆三)に文句を言う場面があるのだが、TVドラマには次のような件がある。

竹次郎:「こちとら好きでペンキ屋やってんじゃねえや」
真利子:「馬鹿言っちゃいけないよ! 今漆職人なんかじゃないんだよ、ペンキ屋なんだ、やることはちゃんとやっとくれよ!」畳を叩く
菊:「聞いてるのかい竹次郎」
竹次郎:「差し出がましい口きくんじゃねえや!」一升瓶を畳にどんと置き、瓶の口から清酒が飛ぶ
真利子:「あんたこそ一人前に酒を飲める身分じゃないだろ」後ろから湯吞みをひったくろうとする
竹次郎:「なんだてめえ」弾みで飯を食べるたけしの顔に酒が掛かる


 これが『シナリオ』だと、12頁下段13~18行め、

竹次郎「うるせえ、指図がましい口をきくんじゃねえ。」
  と、茶碗を口に運ぶのを、
真利子「あんたこそ、一人前に酒を飲める身分じゃ/ ないだろッ。(と、茶碗をひったくる。)」
  その弾みに、茶碗から飛び出した酒がたけしの/  顔にかかる

となっていて、ペンキ屋であることは後半、居酒屋の信濃屋での、18頁上段14~18行め、

竹次郎「そうなんだよ。ペンキ屋の伜に学問はいらね/ えってのに、ばかやろうが行きやがって。」
客 一「へえ、大したもんだねえ。」
大 山「それも、そんじゃそこいらの大学じゃない/ の、何たって東大だから。ね、親方。」

との会話まで、明確に示されては*1いない。ついでに長男の英一郎(趙方豪)が東大生であることを示す信濃屋主人(北見治一)の発言まで抜いて置いた*2
 とにかく、漆職人だったのが時流の変化で仕方なくペンキ屋をやっているので、どうも仕事に身が入らないと云う状況が初回、竹次郎の初登場シーンで良く分かるように改変されているのである。
 年末であることは松原組の見習が焚火に当たったり、見習2人と松原定子、西野竹次郎がくしゃみをしたり、或いは台詞などでも説明されていたと思うが、上記夫婦喧嘩がエスカレートして、13頁上段14行め「‥‥/何故か婦人公論が飛ぶ。」とあるのがTVドラマでは何故か「婦人正論」なのだが、その背表紙下部に「12」とあって12月号であることからも、察せられるようになっている。(以下続稿)

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 今日は1ヶ月振りに都内の図書館に返却に行った。都立高校は昨日始業式だと聞いたが私が往復通り掛かった高校は昼前だと云うのに静まり返って人の気配もしない。しかし区立中学は普通に体育だか部活動を、大きな掛け声とともにやっていた。図書館も、冬季休暇明けの開館日で、返却期限日だったせいか人は多い方で、窓際に並んでいる机も、椅子を間隔を空けて並べているが、きっちり埋まっていた。同じ区立の小学校も静まり返っていたが、この小学校に隣接する別の区の中学校も静かだった。「全国一斉休校」はしないが感染者の有無で対応を変えているのであろうか。私の家の近所の小学校・中学校はまだ始業していないらしい。まぁ全国一斉に休校する必要は、昨年の3月だってなかったと思うが、今回は首都圏だけ休校にすれば良い。そして3学期をゆっくりやって、首都圏だけ9月始業にすれば良いのではないか。

*1:1月9日追記】「明示されて」を修正。

*2:TVドラマがこれと全く同じだったか、既に私には確認出来なくなっている。